ウラン・プロジェクトの軌跡をたどり、オラーンバドラフ郡を訪問

鉱業
b.dagiimaa@montsame.gov.mn
2025-12-17 09:45:59

(ウランバートル市、2025年12月17日、国営モンツァメ通信社)ドルノゴビ県オラーンバドラフ郡で事業を展開する「バドラフ・エネルギー」社のウラン・プロジェクトを視察した。

モンゴルで鉱業権を取得した現代的で大規模なプロジェクトの準備状況を現地で視察すること、一方で、ドルノゴビ県オラーンバドラフ郡において人や家畜がウラン汚染の影響を受け、環境や生態系への危険が差し迫っているという情報がSNS上で頻繁に拡散されていることに応えるため、「百聞は一見に如かず」ということで、「Zuuvch Ovoo(ズーヴチ・オボー)」ウラン・プロジェクトを訪れた。 

ウラン・プロジェクトの準備進行中

同社の株式は、フランスの「オラノ(Orano)」グループが66%、モンゴル政府が34%を保有している。モンゴル政府と、モンゴル・フランス共同出資の「バドラフ・エナジー」社の投資者である「オラノ・マイニングSAS」との間で、投資契約が2025年1月17日に締結された。ドルノゴビ県でウラン・プロジェクトを実施するこの投資契約は、「オユ・トルゴイ」プロジェクトに次ぐ、隣国との協力によるモンゴル2例目の投資契約であり、またモンゴルと欧州連合(EU)間の初の大規模プロジェクトとなる。 

本プロジェクトで生産されるウランは、フランスの電力の約80%を賄うほか、イギリス、ドイツ、イタリア、スペイン、スイス、オランダ、ルクセンブルク、ベルギーなどの国々を今後60年間にわたり供給すると見込んでいる。この点から、専門家は本プロジェクトがモンゴルの投資環境に与えるプラスの影響は大きいと指摘している。 

さらに、モンゴル政府が保有する34%の普通株式を10%の優先株に変換し、残りの24%は鉱物資源使用特別税で代替する方式を採用しており、配当を待つ必要や追加債務のリスクがなく、モンゴル側はプロジェクト開始時点から直接的な利益を享受できる点も重要である。  

同社は1997年にプロジェクトを開始し、2006年には7000㌧の埋蔵量を持つドラーン・オール鉱床、2010年には9万3000㌧(合計10万345㌧)の埋蔵量を持つZuuvch Ovooウラン鉱床をそれぞれ発見している。現在、モンゴル国内のウランの確認資源量は約20万㌧で、世界のウラン資源の約3%を占め、埋蔵量で世界10位にランクされる。

「バドラフ・エナジー」社のウラン・プロジェクトによる確認埋蔵量は、モンゴル国内全体の約50%を占める。投資契約に基づき、2025年中に「株主契約」と「鉱床利用契約」の改訂・承認を行うべきである。その後、製造施設の建設は2026年に開始され、2028年10月までにZuuvch Ovoo鉱山で本格的な採掘を開始し、初めての製品を出荷する計画となっている。

工場がフル稼働すれば、年間2500㌧のウラン・イエローケーキ(最終製品ではなくイエローケーキのみ)を生産し、現時点の確認埋蔵量で初期段階として33年間の操業が可能と見込まれている。投資契約は20年間で締結されているが、新たなウラン資源が発見されれば、操業可能な限り契約期間を延長することができる。

工場建設と並行して、ズーンバヤン–オラーンバドラフ間110kmの道路整備、110kw送電線の敷設も行われる予定であると同社は報告した。これらのインフラは2027年前半までに完成・稼働を目指している。工場建設は、カザフスタン共和国のKATCO鉱山をモデルに行われる予定で、鉱山開発・ウラン採掘・精製施設、硫酸工場、技術設備はカザフスタンのウラン鉱山の水準を参考としている。

プロジェクトの初期投資額は5億米ドル、総投資額は17億米ドルで、モンゴルにとって大規模な外国直接投資に相当する。33年間の操業期間を通じ、モンゴルが受け取る総利益は52億米ドルと見込まれている。

「バドラフ・エナジー」社は、プロジェクト実施期間中に経済的・社会的利益をモンゴル国民に還元するとともに、新規雇用を創出するほか、6万8900㌧のウラン原料を生産し、操業期間中に発生する40億トンの二酸化炭素排出を抑制することで、グリーンエネルギーである原子力の基礎原料の供給に貢献する計画である。

同社によれば、すべての作業は投資契約に基づくスケジュール通りに順調に進んでいるという。

「株主契約」および「鉱床利用契約」の改訂、環境影響評価の詳細な実施、水資源調査、プロジェクトの社会・経済的影響評価、放射性物質の輸送・輸出に関する法的枠組みの整備など、ウラン生産に関連する多くの新規作業を2028年までに完了させる必要がある。


Zuuvch Ovoo鉱床のウランはインシチュリーング法で採掘

一般的に「鉱山」というと、土埃が舞い、大型重機が稼働する光景を思い浮かべる。しかし、Zuuvch Ovoo鉱床のウラン鉱山はこれとは全く異なる。


ドルノゴビ県オラーンバドラフ郡で、2021年から2023年に稼働していた(現在は閉鎖済)ウラン試験工場を見学した際も、土埃や大型重機の喧騒は見られなかった。ウラン採掘には、封じ込められた保護柵付きの井戸と、小規模ながら警備付きの化学処理工場が使われていた。

このプロジェクトでは、地表の土を削る露天掘りを行わず、地下のウラン鉱石を特殊なパイプで吸い上げ、直接生産工程に投入してイエローケーキを製造する方式を採用する。新工場も、この方式を基に規模を拡大して建設される予定である。 

世界的に見ても、ウラン採掘は露天掘り、地下採掘、インシチュリーング法の3つの方法で行われている。Zuuvch Ovoo鉱床では、最新の技術であるインシチュリーング法が採用される。この方法は環境への影響が最も少なく、自然景観をほぼ維持できることが特徴である。現在、世界のウラン鉱山の60%以上がインシチュリーング法を採用している。

参考として、カザフスタンでは13のウラン鉱山が同方式で操業しており、これまで環境や人・家畜の健康に悪影響を及ぼした事例はないと、プロジェクト関係者は説明している。 

2021年から2023年の試験工場では、バドラフ・エナジー社がインシチュリーング法(In situ leach)を用いて、10.4㌧のウラン・イエローケーキの原料(イエローケーキの前段階原料)を成功裏に採掘した。2028年の本格操業開始時には、この試験工場で得られた10.4㌧をさらに、工程進め、輸出可能なイエローケーキとして完成させる予定である。試験工場の操業は、モンゴル人従業員が主導し、地元住民も参加した。 

この試験の成功により、インシチュリーング法が鉱床に最適で、環境への影響が最小限であることが確認された。これを基に、プロジェクトの技術・経済的妥当性を検証し、投資契約が締結された。

続きは 「モンゴル通信」新聞でお読みください。



なお、「バドラフ・エナジー」社のウラン・プロジェクトの鉱区は、オラーンバドラフ郡内に完全に収まっており、ズーンバヤンは通過地点となる。また、必要に応じて飛行場を建設可能な予備用地としても確保されている。