シェンノン・コウリン:「官民パートナーシップを強化する」
経済
(ウランバートル市、2025年6月1日、国営モンツァメ通信社)アジア開発銀行(ADB)が2025年~2028年にかけてモンゴル国と共同で進めるパートナーシップ戦略は、民間セクターの関与強化に重点が置かれる。
ADBは、2025年~2028年にまで、モンゴル国と共同で実施するパートナーシップの戦略を発表した。モンゴル政府の行動計画をはじめとする国家の開発優先課題と整合させて策定された同戦略は、包摂的で持続可能な発展と経済成長の促進を目的としている。
モンゴルは、ADBが2021年~2024年まで実施したプロジェクトおよびプログラムの枠組みのもとで、13の幼稚園と7つの学校を新たに建設・整備し、必要な機材もすべて完備した。また、貿易・経済の主要回廊を発展を目的に、国際的および国内的に重要な道路網の強化に取り組み、204kmの道路が建設され、すでに供用が開始されている。
中央地域の電力系統には、8メガワット容量の大規模な蓄電システムが設置された。また、3つの県には合計25.5メガワットの太陽光発電所が、1つの県には3.6メガワット時の蓄電システムが導入された。地域間のバランスのとれた発展を促進する目的で、9県において合計2万7000立方メートルの処理能力を持つ下水処理施設が稼働を開始したほか、「ボルショー」「アルタンブラグ」「ビチグト」の国境検問所インフラ整備も始まっている。また、保健・農業分野では10のプロジェクトが実施され、総額4100万米ドル相当の債券が発行され、資本市場の発展にも貢献している。今回の協力の枠組みでは、包摂的で多角的な経済成長の支援、持続可能性とレジリエンス(回復力)の強化、そして能力と機会を拡大するという3つの主要な戦略目標に重点が置かれていることが強調された。
B.ジャブラン財務大臣「今後数年間で地域開発を支援するために、道路交通やインフラの整備を進め、観光業、畜産、食品・農業生産を強化、そして輸入代替製品の生産に取り組む。また、過重な業務に直面している県や区の病院を改修し、保健・教育サービスのアクセス向上を図るなど、社会・経済にとって重要なプロジェクトやプログラムをADBと連携して実施していく。気候変動とその悪影響の緩和、ガバナンスと制度の能力強化、政治的マネジメントの改善、デジタル移行の加速に加え、女性や少女のエンパワーメントにも注力する。さらに、今回のパートナーシップ戦略では重要鉱物資源の分野も盛り込まれており、地域における先駆的な取り組みとなっている」と強調した。
シェンノン・コウリンADBのモンゴル常駐代表は「私たちは、2021~2024年に実施したパートナーシップ戦略を基に今回の計画を立てた。前回は保健、教育、道路交通といった分野の発展に重点をおいたが、今回は民間セクターの成長支援、人材育成、エネルギー移行の支援に力を入れていく。特に官民パートナーシップ(PPP)を強化するため、政府と連携して政策改革を進める。また、経済開発省とともに、官民連携の形で資金調達が可能なプロジェクトのリスト作成にも取り組んでいる。ADBとして、最も実現可能性の高いプロジェクトを開発・支援し、投資していく予定である。さらに、有望なプロジェクトに対しては直接融資を行うなど、さまざまな形で支援を提供していく」と述べた。
なお、このパートナーシップの初期投資規模は、約12億~15億米ドルに上る見込みである。