ドキュメンタリー映画 『モンゴル民族衣装の秘史』 上映会が開催

特集
bolormaa@montsame.gov.mn
2021-12-21 15:21:52


 昨年1125日、モンゴル・コスチュームズ社セムーン・スタジオと共同制作作した『モンゴル民族衣装の秘史』ドキュメンタリー映画の上映会が行われた。モンゴル・コスチュームズ社は歴史家、考古学者、科学者、衣装デザイナー、政府機関及び非政府組織などの多数の支援者の協力に加えて、スイス開発協力機構の後援を得て、国内の40以上地域と国外16カ国に渡りモンゴルの民族衣装のルーツと伝統を探ってきた。『モンゴル民族衣装の秘史』ドキュメンタリーはモンゴル・コスチュームズ社の過去20年間の研究実績によりつい作され、モンゴル国内で発掘された遺物である衣装、装飾品などを含み13世紀から16世紀までのモンゴル伝統衣装の文化が色濃く表現している。

 

 多くの研究者は、衣服は時間の経過とともに変化するが、元の形状を常に維持するよう指摘している。モンゴル民族衣装の文化は、そのまま世界史とも言われている。それは、モンゴル帝国が世界の半分を征服していたからであろう。同映画も衣装文化を通じて民族の歴史と伝統を世界に宣伝することを目標としている。



 

モンゴル・コスチュームズ社のB.ソブド社長と『モンゴル民族衣装の秘史』ドキュメンタリー映画について聞いた。 

――『モンゴル民族衣装の秘史』ドキュメンタリー映画で最も表現したかったことはなんですか。

 映画ではモンゴル帝国時代に衣装文化が多くの外国に広まり、衣装とともにモンゴル民族の習慣や生活様式が受け継がれ、伝え残されて来たことを示したかったです。つまり、草原の遊牧民族に影響されたものは、現代人が履いている靴とズボンだけではないのです。

 

――国外で発掘された遺物には、モンゴル民族のように思われるものは多数ありますが・・・

もちろんです。2019年に黄金の大群創立750周年記念の一環でロシアのカザン市で素晴らしい展示会が開かれました。そこに展示されていたモンゴルの貴族の保存状態が良い「ボグトガン」帽子にとても感心を持ちました。これは素敵な宝物です。また、台湾の美術館にボグトガン帽子の絵画があります。カタール博物館にも、ボグトガン帽子、5本指の手袋、デールもあります。カタール博物館に展示されている13世紀のデールと同じものはドルノゴビ県の博物館で見ることができます。

 

――モンゴル衣装文化の影響を最も受けている国はどこですか。

 多数の国が影響を受けていると答えたいです。これまでの研究実績によると遊牧民族発祥のファッションは多くあります。モンゴル衣装は快適で、医学的および科学的な利点を有していますからね。


 

次に、U.エルデネバト国立大学人類学・考古学部研究員に衣装文化について聞いた。

 

――国内で衣装に関連する考古学的発見は多数ありますか。

 出土品にはフェルト、シルク、布地で作られたものは多数あります。しかし、そのほとんどが切れ端しか見つからないため、当時のままの姿の織物は非常にレアで貴重な遺物となります。

 

――『モンゴル民族衣装の秘史』ドキュメンタリー映画の調査研究を担ってきたが、その思いを聞かせて下さい。

 衣服により、人類は動物界から脱却し、文化を創造したとも言われています。モンゴルでは一早く文化が創造されたことが、衣装と装飾品の発見によって確認されています。遊牧民族は何世紀にも渡り、季節、地域に最も適した快適な衣服を楽しんできました。モンゴル高原で最初に王権を確立した匈奴時代から1314世紀のモンゴル帝国時代まで、アジア、ヨーロッパの国々に伝統衣装の文化を広めてきました。伝統衣装の影響力を歴史家、考古学者などの専門家だけではなく一般の人々にも理解してもらい、そして世界にアピールすることを目標で努力しました。

 

――モンゴル衣装文化の影響を最も受けている国はどこだと思いますか。

 中国だと思います。元王朝時代、モンゴル貴族の衣装の色や模様などはその後の中国の衣装文化に強い影響を与えました。衣装の生地だけでも、ペルシャ、トルコ、さらにはイタリアやローマにも影響を与えました。

 

――『モンゴル民族衣装の秘史』という2巻が出版されていますが、詳しく聞きせて下さい。

 モンゴル・コスチュームズ社は民族衣装アカデミーと共同で、2011年に『モンゴル衣装』、2015年に『モンゴル民族衣装の秘史』2巻を出版しました。モンゴル草原で人々が住み始めて以来、現在までの衣装の歴史について綴られています。衣装の歴史はドキュメンタリー映画として時系列で再現できたことを嬉しく思います。

 

 モンゴル・コスチュームズ社は2017年、18年のナーダム祭に中央広場で民族衣装デールを着る「デールテイ・モンゴル(デールを着たモンゴル)」イベントを行い、イベントに約1万人が参加し、2000人あまりの観光客が見学したという調査記録が残っている。同社は国際的にも評価されており、これまで、欧州諸国、アメリカ、日本、台湾、韓国、インドネシア各国でイベントを開催したほか、展覧会、ファッション・ショーなどにも参加し、モンゴル民族衣装デールの魅力とその素晴らしさを世界にアピールしてきた。