ザブハン県:テス川のビーバー生息数が順調に増加
社会
(ウランバートル市、2025年11月13日、国営モンツァメ通信社)ザブハン県のテス川に生息するビーバーの個体数が増加している。
現在、テス川でアジアビーバーの30~35群れ、約250頭が生息していることが観察により確認された。
アジアビーバーは、国際自然保護連合(IUCN, 2010)のレッドリストの基準によれば、世界的には「低危険種」とされているが、地域レベルで「絶滅危惧」に分類されている。モンゴル国内で「動物保護法」および『モンゴル国レッドブック』で「極めて希少な種」として保護対象となっている。
2012年にテス川自然保護区で実施された調査で、同地域でビーバーの定着と個体数の増加傾向が確認された。その後、2013年にモンゴル国立大学生物学部のシャル教授と、ロシア全狩猟学研究所のA.L.ソヴェリエフ博士が共同で詳細な調査を実施した。地元の遊牧民代表、自然保護管、行政区長ら計12名が参加し、5日間にわたり現地調査を行った。
調査によると、テス川流域に生息するビーバーやカワウソなどの動物のうち、ビーバーは1つの巣に6〜8頭で群れを形成して暮らしており、計14カ所の巣が確認された。これにより、同地域でビーバーが水辺や緑地帯に広く分布・定着していることが明らかになった。
専門家によると、ビーバー保護の取り組みが効果的に進められたことが個体数の増加に大きく寄与しているという。また、良好な生息環境の維持や、地域住民による自然保護・生物多様性保全活動の成果も大きいとみられる。
1974年にテス川へ37頭のビーバーが導入されて以降、同流域で個体数は着実に増加している。ビーバーは水陸両生の生活を送り、川沿いの深い水辺や高い岸に巣穴を掘って巣を築く。繁殖期は3〜4月で、6〜7月に1〜5頭(平均2〜3頭)の子を出産する。ビーバーは川の水位を安定させ、流域の生態系バランスを保つ上で重要な役割を担っている。
ザブハン県環境局は、「今後も個体数の増加と生息環境の保全に向け、保護・管理活動を一層強化していく必要がある」としている。
Улаанбаатар