初の感染者確認で、広がる波紋 今は冷静に行動し、必ず打ち克つ!

社会
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2020-03-13 11:06:06

 モンゴルで初の新型コロナウイルス感染者が確認された10日、UB市民にショックの波紋が広がった。街中は車の渋滞もなく静か。ノミンデパートはマスク使用しない者は入店禁止に。朝から平常の10倍くらいの買い物客がつめかけ、当面の必要品を買う長蛇の列が出来た。こうした中、モンゴルと日本人関係者から感想や意見のコメントをもらい、 以下に列記する。

                              

モンゴルに滞在・在留をされている邦人の皆様へ  

                                                                                                在モンゴル日本国大使 小林弘之

 モンゴル政府によります新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防対策の下、日々の生活・仕事に大きな影響が生じており、日本を含めた外国との往来も制約を受けています。3月 9日、モンゴルで初めて感染者が確認され、皆様におかれましては、更にご心労を募らせていらっしゃることと拝察申し上げ ます。

 モンゴル国内でも新型コロナウイルスに感染するリスクが現実的なものとなりましたが、皆様におかれましては、引き続き冷静に予防対策に努めていただくことが大切です。37.5℃以上の発熱が複数日続く方、その他の疑わしい症状でご心配の方につきましては、当館にご連絡ください。当館といたしましては,モンゴル側関係機関への連絡も含め適切に支援をしてまいります。当館は、今後も関連情報の収集に努め、速やかに当館のホームページ及び在留邦人向けメールを通じて情報提供いたします。皆様におかれましても、現地報道等を通じ関連情報の収集に心がけていただきます よう、よろしくお願いいたしま す。皆様のご健勝、そして一日も早い新型コロナウイルス感染症の鎮静を祈って止みません。



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 今は辛抱の時期、モンゴル、 日本は必ずコロナに克つ!

                                                                                       元モンゴル駐箚特命全権大使 清水武則

 世界的な規模で拡大するコロナですが、私個人でも、3月に予定していた科学技術大学での講 演、今陽子コンサート、中央大学幹部のモンゴル訪問、大分3カ所で実施予定だった馬頭琴コンサートなどか中止に追い込まれ ました。大変残念ですが、予定していた事業はコロナ問題が落ち着いたら必ず実施したいと思います。モンゴル政府が早い段階から厳しい防疫措置を講じてきたことを評価していますが、 今般発症者が出たことは残念でなりません。しかし、モンゴルは克つ、日本も克つ、世界はコロナに必ず克ちます。今は辛抱しましょう。モンゴルの方々、 モンゴル在住の邦人の方々のご健勝をお祈りします。

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私達は日本人として最初に ダメージを被った    

                                                                                       元モンゴル駐箚特命全権大使 城所卓雄

 コロナウイルス感染問題で、 日本人として、最初にダメージを被った日本人は、私達のグループだと思います。1月27日、ウランバートル入り、翌28日、モンゴル日本教育病院の石碑の除幕式が急遽中止となりました。

 その後の日馬富士学校の訪問、名古屋経済大学とモンゴル国立大学間との署名式への同席など全て中止となりました。今回は、ウランバートル市内には4泊滞在しましたが、マスクや薬の携行などにより感染されず、1月31日、無事日本に帰国する事が出来ました。(株)ライセンスアカデミーが毎年開催しております4月の留学・就職フェアも、現在の状況が続きますと、開催中止を視野に入れないといけない状況になって参りました。

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                                   日本は新型コロナ診断キット などの供与で支援してくれた 

                                                                                             元大阪モンゴル国総領事 D.クランダ

 新型コロナウイルスは人類にとって大きな試練になりました。感染は世界的に広がり、パニック状況の中で私たちは生活を送っています。各人が感染を予防する責任を自覚し、保健機関からの指示を厳守しながら生活と母国、愛する全てを守るしか他の方法はありません。私は今、日本にいます。新年とツァガーン・サル(旧正月)に子どもらと一緒に過ごすつもりでしたが、帰国できない状況にいます。私と同様に多くのモン ゴル人が日本にいます。モンゴル人は恐ろしいウイルスを感染させないよう、政府、国民一人一人が努力しました。残念なが ら、今日モンゴルで初めての感 染者が確認されたという情報を受けました。私たちは団結し、秩序を守り、衛生状態を保ってこそ、この感染症を克服できます。

 日本はコロナウイルス感染地の苦難な状況にあるにも関わらず、モンゴルに新型ウイルス感染症診断キットを供与するなど 支援の手を差し伸べてくれました。苦難時にお互いを支え合うのは国家だけでなく国民間交流の前向きな行動になっていま す。モンゴル人と日本人、そして世界中がコロナウイルス感染を克服できる時期がまもなく訪れると期待しています。

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コロナ問題に関しての私見 「日本とモンゴルの違い」 

                                                                                                         TDBリース社長 藤本和久

 「休校、活動や移動の制限、 まるで鎖国のような国境封鎖な ど」モンゴルは素早い対応をしたと評価される方も多くいますが、私は逆にこれしか手の打ちようがない国だと感じてます。 これまで行政が、医療施設や医師の充実を図ってこなかったために、今般のウイルス発生に対して「医療の限界」があることを政治家たちは最初から分かっていたので、こういう措置しか取れなかったのではないでしょうか?約2か月間での検査数が 227件と、検査キットも不足しているので、隔離措置にしても社会から隔離しているだけで、 隔離された人たち全員の検査すらできず、14日間発症者が出ないことを祈るだけという隔離だと聞いてます。日本も今は混乱していますが、モンゴルと大き く違う点は、日本には優れた医療施設と技術があるにも拘わらず、それを今回の非常事態下で十分に使い切れていないがための対応遅れ(検査遅れ)であるのに対して、モンゴルは医療施設も技術も、さらに十分な検査キットもないために休校や鎖国のような国境封鎖という措置で対応するしか打つ手がない国だということです。大統領の隔離についても「大統領ですら隔離される国だ」というニュースを流すことで、隔離を正当化するための方策であったような気がしています。仕事面では、中国国境で石炭輸出が停止され、また中国国内でも物流が制限されている関係での収入減、入国制限による中国・韓国からの旅行入国者の減少でカシミア製品売上減、航空会社の収入減など、多岐に亘って影響が出始めています。

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旅行社として、すべてキャンセルに多大な影響

                                                                                       HIS ウランバートル支店支店長 原田紀

 私は旧正月休みを利用して休暇のため、日本に一時帰国をしておりそのタイミングで日本からモンゴルへのフライトがキャンセルとなりモンゴルに戻れなくなりました。

 仕事の影響としてはこのような状況下の中、日本からモンゴルに来られる観光客・出張者等の予約が全てキャンセルとな り、またモンゴルから日本へ行くフライト予約やツアー等も全てキャンセルとなってしまいました。特に3月に関しては、ほぼ誰も来ない・行かない状況となり非常に大きな影響を受けています。

 個人的には仕事面では日本にいるからこそできる仕事もあるのでそこは逆にポジティブに考えていますが、基本的にホテルでの生活ということもあり、早く自分の家に帰りたいという思いが日増しに強くなっている状況です。 早くコロナが収束することを心より願っています。

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                                        従業員の安全と店、息子の 学業が心配です 

                                                                                               さくらベーカリー 店主 森本大

 2月14日の日本への出発時には、こうなるとは思ってもいませんでした。2月29日に戻る予定だったので今は、従業員の安全と店、家の電気が停められないかを心配しています。戻れたとして も、隔離されると思うので今は、 営業云々考えられません。息子の学業においても昨年末の冬休み以降は、ほぼ授業が再開されていないので今後どうなるのか心配です。1日でも早く全ての人が平穏に暮らせるよう願っています。

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                                     パニックにならず、外国人排斥などがないように

                                                    名古屋大学日本法教育研究センター・日本語教師 八尾由希子

 私は息子を連れて一時帰国で、今も帰れず日本にいます。大学の授業は遠隔操作で行っていますが効果の方はどうかと心配です。息子は、学校に行くほうがラクだと言って自宅待機している状態です。初の感染者の報道に、モンゴルはちょっとしたパニックになると思いますが、皆さんが冷静に行動され、感染が拡大せず、また外国人排斥などの運動につながらないようにと祈るばかりです。