言語学博士サロールエルデネさん:米国で行われるモンゴル研究の国際会議の範囲が年々拡大

特集
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2021-03-31 11:02:40

 モンゴル語と文化の宣伝、モンゴル研究の発展に多大な貢献をしている世界最大規模のアメリカ議会図書館の図書館員、モンゴル語書籍の専門家ミャグマル・サロールエルデネ言語学博士にインタビューした。彼はバーバル・エム・エヌ、デイリーニュース新聞などに興味深い記事を掲載し、「面白い言語学」フェースブックグループの管理者として数多くの面白い情報を共有するアクティブな人である。

 ――米国にいつ頃から住んでいますか。アメリカ議会図書館の図書館員になった歴史を振り返ってみれば?

 私はインディアナ大学の客員研究員として2002年に米国に来ました。2004年以降、夏休みでアメリカ議会図書館で(LC)ボ ランティアをして、2010年、この図書館の契約社員となりました。しかし、当時、私は米国 国務省付属外務研修所のモンゴル語の教師を務めていたため、土日だけに勤務して、モンゴル語書籍の目録を作成していました。2019年に、LAからは正社員になる要請がありました。モンゴル語教師の仕事を辞めるのは残念だったが、勇気を出してキャリアを変更し、図書館員になりました。

 ――アメリカ議会図書館ではモンゴル語書籍課は一体いつ、設立されたのでしょうか。

 モンゴルとチベットを旅行した米国の外交官ウィリアム・ ロクヒルさんは1902年11月29日にLCに約70冊の古い経典を寄贈しました。その中に、モンゴル語で書いた手稿2枚、木版刷本1冊あったのがLAの初のモンゴル語書籍となりました。その直後、1917年にラウフェル教授により80冊余りの古く、珍しい本が納本され、モンゴル語出版の収集が始まりました。

 ――毎年、米国でモンゴル研究の国際会議が開催されます。年々範囲が広がっているこの会議の目的、意義などについて詳細をお聞きしたいです。

 私はモンゴル文化センターの友達とともに、この会議を提起して、2007年から開催してきました。この会議の範囲は年々広がり、現在、スミソニアン博物館、LAで行われる米国におけるモンゴル研究の最大の会議となりました。モンゴルについての情報を必要としている大国の立法者と意思決定者はこの会議に出席するようになりました。 一方、米国におけるモンゴル研究は衰退する傾向がありましたが、この会議開催によりモンゴルに関する数多くの研究、発表が議論される機会が作られました。これは米国の若手モンゴル研究者への支援にとって有意義です。

 ――2021年度の会議のテー マと日程は決まったのでしょうか。

 以前2月に開催されてきたのですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されました。10月に開催を予定しています。テーマはまだ、明らかになっていないけど、1911、1921、1961年の出来事に焦点を当てるでしょう。

 ――日本人の研究者はどの程度参加しますか。この会議に参加したい方は登録をどのように行うのですか。

 残念ながら、日本からの参加者数は本当に少くなった。有名なモンゴル研究者二木博史さんは発表を行ったことがあります。私たちは日本からの参加者を快く受け入れます。 参加したい方はinfo@mongolcc. orgや、saruul@mongolcc.orgに連絡してください。

 ――現在、米国で何人のモン ゴル人が住んでいますか。米国で生まれ育ったモンゴル人の子どもたちにモンゴル語、文化を教えるために設立されたモンゴル語・文化のサマ―キャンプについてお聞きした いです。

 非公式統計によると約3万人のモンゴル人が住んでいます。ここで生まれ育った子どもたちの母語学習問題が複雑になるようなのを早く気づいて、2007年からモンゴル語・ 文化のサマーキャンプを実施しています。インデイアナ州にあるモンゴル・チベット仏 教文化センターを拠点にすることが可能でした。そのため、このセンター長を務めるアジャ・リンポチェアさんに申し出したら、彼はこの提案をよく支援してくれました。これにより、18人の生徒でサマーキャンプを始めました。今、キャンプは2交代制に移行しても参加したい子ども全員 を収容できないくらい、子ども数が増えています。

 ――平均、何人の子どもたち がこのキャンプに通いますか。

 このキャンプでは、先生たちは英語で話さない。モンゴル環境を作り、言語と文化を教えます。モンゴルからモンゴル語教師も招待されます。私の妻と僕はモンゴル語の教師です。このように良いチームを作成し、キャンプの活動に精一 杯取り組みます。キャンプに通い、1週間となった息子を迎えに来たある母親が自分の息子とはじめてモンゴル語で話していることを信じられないで、泣いたこともあります。

 一回で40人の子どもを収容できます。2交代制で授業を実施します。米国に在住するモンゴル人数に比べると、受け入れている子ども数は本当に少ないです。そのため、オンライン授業を提供しています。日本にいるモンゴル人の子どもたちは私たちの授業に参加して、モンゴル語を勉強したこともあります。モンゴルに興味を持つ日本人の若者に縦文字を教えたこともあります。

 ――コロナ禍の影響で、2020年には図書館員の仕事を自宅でしたそうですが、自宅での仕事はどうですか。

 自宅で仕事してからほぼ1年が経っています。図書館員の主な仕事は本の目録作成です。そのため、必ず図書館へ行かなくてもいいです。一方、週1回はLAへ行き、目録を作る本を持ってきます。マスクを着けて、本を入れるスーツケースを引っ張て行きます(笑)。

 ――主な仕事の他、本の出版や翻訳などに関与していますか。

 本や記事を書き続けています。ディロバに関する資料を編集して、出版するつもりです。また、2冊の本の翻訳が順調に進んでいます。20世紀の文字の変化、歴史について英語で書いた研究は3月4日に英国の大手出版社ラウトレッジによる書籍に掲載されます。有名なモンゴル研究者Francis Wood- man Cleavesの図書館を発見ました。ここで研究し、公開することがたくさんあります。

 ――ありがとうございまし た。今後の活躍を期待しております。


モンゴル研究の第14回国際会議、2020年