環境に良い やさしい革“ラセッテー”なめし技術って?

経済
dashtseren@montsame.gov.mn
2019-05-07 13:54:28

モンゴルは世界有数の皮革王国。そこへ日本の最新なめし製法を移転し、日・モ両国が持続可能な開発目標をかかげ、共に産業発展に貢献しようと強い決意で立ちあがった山口産業の山口明宏社長にインタビューした。




――ラセッテーなめし技術って、初めて聞く言葉ですが?

1990年、私の父が開発した技術です。昔は革のなめしにどこも毒性のある六価クロムを使っていたのですが、それを試行錯誤の研究の末、人と自然にやさしい技術を編み出した。実は私はクロムアレルギー体質なのです。クロム100%の使用をやめたおかげで、今、工場を継いでやっていけているのです。ミモザから抽出される天然の植物タンニンを主原料としてなめした「やさしい革」、これが日本初の我が社のオリジナル、ラセッテー技法なのです。 


――「やさしい革」、それを目指すためにどんなことをやっていますか?

私達は4つのゼロに挑戦しています。①環境負荷を抑えるため工場排水のクロムゼロ、②安心して働ける健康的な職場で仕事のストレスがゼロ、③動物のストレスゼロの飼育環境で育てた原料皮の使用、④健康な企業運営と皮革産業発展のため、不公平・不公正な取引ゼロ。「やさしい革」には、この4つのゼロが不可欠。私達はこれをお約束しています。欧米では動物愛護の観点から檻に入れない養豚を行っている。シャネルはもうクロコダイルを使わない。開発から30年、いまではうちの皮革は、ヨーロッパで使ってもらえるまでに育って来ました。 


――クロムなめし使用ではどんな被害があるのですか?

6年前、ショッキングな報道がなされた。日本で履いているほとんどの靴がある国からの輸入で、アレルギーや肌荒れの健康被害が出た。当社は、クロム製品を悪いと弾圧したり、うちだけはよかったと思ったりすることは出来たが、我が社はこの技術をオープンにしてみんなでこの技術シェアする道を選んだ。その方が日本の皮革産業全体の底上げにつながりますからね。


――今回、モンゴルにラセッテ―なめし製法を技術提供するのですね。 

はい、やさしい革づくり技法を伝え、モンゴル・レザーのブランド化推進の取り組みを始めます。これを「MONY」プロジェクトと名付けました。 これまでモンゴルは中国の安い材料を使ってきたが、今回初めて環境にやさしい技術提供を受けるに至った。これで安く買いたたかれることなく、モンゴルブランドが新たな市場を開拓していける。喜ばしいことです。


――もっとも大切なのは目標を目指して何をするかですね?

命の皮を使って、最後の1枚までも使い切ることです。モンゴルを代表する2社と協力して、ヒツジやヤギの皮で、柔らかい、においもしない皮革素材を生産します。これ、触ってみてください。革はしっかりしていて、手触りはやわらかでしょう?赤ちゃんベッドにも使用できます。365日使える安心素材です。


――今後、このプロジェクトの推進で、何が期待されますか?

日・モ両国の産業をウインウインさせ、日本も皮革産業発展のためのパートナーがもてる。モンゴルは新たな農牧業のバリューを上げ、将来は高い利益を生む持続可能な道を歩み、高付加価値化の実現が期待されます。


――いつ頃から、どんな商品を生産されますか?

秋までに試作の皮革素材を作り、日本でも発表していきたいです。コート、靴、カバンなど新しい高級感ある製品の登場にご期待ください。


――最後に、日本での普及、認知度は?

デパートをはじめ、多くの店で環境によい皮革製品に重点が置かれてきています。当社の、「やさしい革の話」を通じての見学会には、年間600人の小学生が訪れています。同業他社に技術を教えていることで、東京商工会議所が、「社団法人にして、その活動を広く普及させてほしい」と言ってくれました。


――国内外での色々な活動、今後とも頑張ってください。ありがとうございました。







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