「メイド・イン・モンゴリア」ブランド、シリーズVIII  世界に知られた国産の 「エルデネットじゅうたん」

特集
41@montsame.mn
2017-10-27 10:21:31
 全世界中でオーガニック製品を重視する現在、モンゴルの草原で放牧されている羊100%ナチュラル・ウールで作られた斬新なデザインと無染色のユニークなじゅうたんが国際市場に上場されて以来、大きな話題となっている。世界的な商標となるのウールマーク製品の、WoolmarkとWoolmark blendのライセンスを受け取ったエルデネットじゅうたん社が世界に知られはじめたのは、ドモテックス上海国際専門展示会の時からのことだった。昨年、日本市場におけるじゅうたん販売率は減少したが、カーペット・カーテン王国チェーン店でのエルデネットじゅうたんの売り上げは25%も伸びたという。
 会社設立から36年間かけて活動しているウールじゅうたん生産者のエルデネットじゅうたん社は母国の無限の資源である羊毛を加工し、年間300種の新デザインで80~100%の「オドド」、「エルデネット」、 「ユニカーペット」、「チンギス」、「匈奴」、「アッティラ」などの機械織り・ウールじゅうたんとラグを生産している。モンゴル羊毛の繊維は太く、中空状になっているため、保温効果だけでなく通気性にも優れており、これはモンゴルの羊にのみある特徴という。毛糸の中空に空気が入っているため熱を隔離するほか、湿度が多い時には比重量の40%に相当する湿度を吸い込み、熱を作り出す。1キロのウールは960キロジュールの熱を放出するので、これは天然エネルギーとも言え、暖かい所以である。
 世界に知られたモンゴル・ブランド「エルデネットじゅうたん」社にとっては原料を自社で加工し、100%の生産を行なうということが独特である。「呼吸以外の全てを使用できる」というモンゴル家畜の毛糸で生産を行なう同社はこのビジネスを最も健康的だと定義する。いわゆる人体に害を及ぼさないビジネスだ。
同社は年間120万~150万平方メートルのじゅうたんを織り、単糸・双糸の生産、5000トンのウール・ウォッシュの3つの工場がある。
 モンゴルのウールとカシミヤを原料での輸出をやめ、国内で付加価値のある製品を生産する目標を立て2008年から工場を拡張し、製織・スピニング・裁縫の3基本の工程で生産を行なっている。同社はウォッシュ・ウール、羊毛糸、フェルト、フェルト製品を市場に提供するほか、国内のじゅうたん需要の96%を単独で生産し、製品の30%をロシア、中国、日本、ドイツ、オーストラリア、カタール、カザフスタン等世界20カ国に輸出している。さらに、カシミヤ糸、布地、 編物、裁縫物の生産能力ではモンゴル2位に入る「エルでネット・カシミヤ」工場もあり、軽工業分野でモンゴル初のナノ技術で布地を生産し始めている。水および湿度、埃を通さないこの布地は国際的にスマート布だと定義されており、モンゴルの化学技術大学の教授R.ミャダグマー博士がドイツで2001~2010年まで、自分の研究でこのスマート布を開発したのが、こうして生産に導入されたのである。
 年間6万メートルのフェルト、2万500個のフェルト靴、3万個のフェルト・スリッパー、2万枚の敷き布団、1万8000平方メートルの断熱材を生産できるウール加工工場、8万トンのカシミヤおよびラクダウール糸、3万6000メートルの編み物、2万5000個の繊維製品、4万個の裁縫物、5000枚の作業服を生産できる裁縫工場もある。
 1981年に設立された「エルデネットじゅうたん」工場は当時、全製品の90%を社会主義国へ輸出していた。また、計画経済市場から市場経済に移行した1990年代にはモンゴル各工場が民営化され、モンゴル政府決議ではエルデネットじゅうたん株式会社、2010年の有限責任会社として組織を再編成され、2014年の出資者会議で、ノミン・ホールディング社のナチュラル・テックスタイル・グループに移った。
 従業員数は800人余りで、国家予算に年間56億トゥグルグを納税するこの会社はウランバートルから400キロのエルデネット市に位置している。同社はモンゴルのISO9001:2008規格を導入した2番目の会社であり、世界的な商標WoolmarkとWoolmark blendのライセンスを受け取ったモンゴル初の会社である。同社は現在、ロシアのモスクワ、中国の北京、上海、フフホト市に代理店を置き、モンゴルのウランバートル、ダルハン、エルデネット市に自社の店を持ち、フブスグルとゴビ・アルタイ県に代理店を設置し、モンゴルの全県で契約販売店を通して消費者に製品を届けている。
 ここ数年、ウールじゅうたんの需要が増えるにつれ、古代の歴史と遊牧の牧畜業とユーニックな文化を持つモンゴルを世界にアピールし、「モンゴルから来た、天然製品」と強調するケースが増えている。イケア世界最大の家具量販店の製品開発企画がつい最近「2030年には全じゅうたんとラグの95%が天然由来となり、ウールじゅうたんは全国民の選択になる」と発表している。
 世界ではウールじゅうたん生産の10社余りがあり、その大半が原料となる毛糸を輸入している。しかし、エルデネットじゅうたん社では、原料を遊牧民の手元から自分たちで備蓄し、モンゴルで100%生産を運営しているということが特色である。2007年からモンゴル・ウールをナチュラル色で選別し、染色剤を使わずにナチュラル色で生産し市場に提供すると、完全に天然製品となり、いまでは各国の消費者に愛用されており、現在200種類デザインのじゅうたんを日本、ドイツ、ロシア、中国などで成功裡に販売している。
同社は36年間で2330万平方メートルのじゅうたんを生産し、この53.7%を国内市場に、46.3%を国際市場に販売してきた。古代貴族の愛用であった高級じゅうたんが現在、「モンゴル」という商標で現代的ブランドに姿を変え、世界市場で独特な地位を占めている。
                                     本社記者:B.ザンダンフー