モンゴルとフランス:歴史的関係を新たなレベルへ引き上げる国賓訪問

政治
b.undrakh@montsame.gov.mn
2023-05-21 13:51:01

5月21~22日、オフナー・フレルスフ大統領の招請によりエマニュエル・マクロン・フランス大統領がモンゴルを公式訪問する。同訪問は、両国の国交樹立以来58年間で初の国家元首レベルの歴史的訪問となる。


  • 1946年に国連安全保障委員会でA.パロディ・フランス常任代表は「モンゴルのような古代国家で偉大な歴史がある国は、国連に加盟すべきだ」と主張し、モンゴルが独立国家として国連に加盟する動きを、西側諸国の中でイギリスと共に支持。

  • 1965年4月27日には外交関係を樹立し、モンゴルが国連加盟後にウランバートル市で大使館を開設。社会主義と資本主義対立の「冷戦」時代の1990年までは、両国の関係が不活発。

  • 1990年にモンゴルは自由民主社会へと移行後、民主主義、人権と自由を大切にする共通価値観の元、フランスとの交流が復活。

  • 1996年のポンサルマー・オチルバタ大統領のフランス公式訪問で政府間協定が締結。2005年に欧州連合(EU)諸国として初めてウランバートル市にフランス語文化センターを設立、1万人以上のモンゴル人がフランスに留学。1926~1930年、モンゴルからフランスのミシュレ高等学校、ソルボンヌ大学、コレッジュ・ド・フランスに留学し、西洋文化に親しんでいた。今では、政府奨学金で毎年10人がフランスを留学。

    さらに、過去20年にわたり、両国は地質学と考古学における大規模な共同発掘調査を成功裏に実施している。


 経済関係において、貿易額は2002年以来増加を続け、2022年には1億5700万米㌦に達した。2009年にフランス・モンゴル経済協議会が設置、2013年からフランス・モンゴル商工会議所として活動範囲を拡大。2005年以来、モンゴルは欧州連合加盟28ヶ国の一員であるフランスへの輸出において関税が免除となった。

 近年、特に食肉・乳製品など農業部門における協力が進み、ビジネスレベルでの活動開始、今年の同国農業大臣の訪問に至った。

 2019年にフランスはモンゴルへの直接投資額で欧州諸国の中で4位となり、最近では原子力分野への投資が大幅に増加。二酸化炭素の排出量が非常に少ない原子力発電は、気候変動との闘いにおいて重要な役割を果たす。その主原料であるウラン発掘において両国は20年以上協力してきた。1997年、フランスの地質学者がドルノゴビ県で2つのウラン鉱床を発見。なかでも、ゾゥーブチ・オヴォー・ウラン鉱床は、世界で発見された10大ウラン鉱床の1つとされる。2016年に、モンゴルとフランスが共同のウラン採掘業を行うバドラハ・エナジー合弁会社が設立。現在は、ウラン鉱山建設に向けフィージビリティ調査を行い、その後投資協定が締結される見通し。今回の仏大統領の訪問中に同協定における原則が合意され、両国が原子力利用について協議し、大型プロジェクトの実施への道筋をつける期待がある。




 セバスティアン・スルン在モンゴル・フランス国特命全権大使は「モンゴルは膨大な再生可能エネルギー資源がある国であり、フランス企業はこの分野への投資に関心を持つ」と指摘し、フランス側はモンゴルとの関係に重要視する3つの方向性を示した。

  1. まず、モンゴルの独立国家の強化を支援。その一環で、航空救難担当の特別部隊設置に協力。今後は衛星利用における協力も検討していると言う。

  2. 次に、気候変動対策における協力。渋滞緩和や大気汚染軽減に関しフランスのポマ社がウランバートル市の吊り線建設に携わっている。

  3. 第三に、両国の共通価値観に基づき、国民と若者の交流拡大に努めているとした。


両国は、国交関係を「包括的パートナーシップ」に導くことを目指し、協力関係の促進、経済と投資の拡大、国際関係について同公式訪問で会談を行う。