モンゴル経由、ガスパイプライン建設事業、ロシア投資激減

政治
gombosuren0625@gmail.com
2020-04-24 11:00:52

 オフナー・フレルスフ首相が2019年12月にロシアを訪問した際、モンゴル政府とガスプロム社間で覚書が締結され、約20年間話し合ってきた天然ガスパイプをモンゴル領土の経由事業として合意した。それに従い、ロシアから中国へ年間500億立方mの天然ガスを輸送する「パワー・オブ・シベリア2」という、ガスパイプライン建設事業の開始が近づいている。この事業についてL.ハンガイ元在ロシアモンゴル国特命全権大使にインタビューした。

 ――ロシアから中国へ年間380億立方mの天全ガスを輸送する「パワー・オブ・シベリア」ガスパイプラインが2019年12月に開設されました。それでは、「パワー・オブ・シベリア2」を急ぐ理由についてお話ください。

 ロシアはアジアとヨーロッパのどちらにも属していると言えます。アジア市場にも、ヨーロッパ市場にも主要なプレーヤーとして関心を寄せています。もし、ヨーロッパ市場が困難にぶつかるとアジアの市場へ製品を輸出します。ロシアの主な輸出品は石油と天然ガスで、大部分をヨーロッパへ輸出します。しかし、2014年以降、対ロシア経済制裁により、ヨーロッパへの輸出が困難に直面しているため、今ではアジア市場への関心が高まりつつあります。アジア最大の市場である中国を天然ガスで供給する課題は、10年間話し合った結果「パワー・オブ・シベリア」という2156kmパイプを4年間で建設し、2019年12月に開設という背景があります。

 ――現在、「パワー・オブ・シベリア2」ガスパイプをモンゴル領土を経由する事業が急速に進んでいますね

 この事業が進んでいますが、近々開始するというわけではないのです。3月31日に、国家安全保障会議の下でガスパイプライン建設事業への協力政策、組織を促進する作業部会が立ち上げられました。ウルジーサイハン・エンフトゥブシン副首相が率いるこの作業部会はD.ツォグトバータル外務大臣、Ch.フレルバートル財務大臣、A.ガンスフ国家安全保障会議書記官をはじめ、他の関係者から構成されています。さらに、3月27日プーチン大統領がガスプロム社のアレクセイ・ミレル代表取締役社長と会談する際、ミレル代表取締役社長が「パワー・オブ・シベリア2」ガスパイプライン建設事業の図面作成を発表し、該当事業に関するフィジビリティスタディ(F/S)を始める許可を取りました。

 ――ロシアから中国へ年間380億立方mの天全ガスを輸送する「パワー・オブ・シベリア」ガスパイプラインが2019年12月に開設されました。それでは、「パワー・オブ・シベリア2」を急ぐ理由についてお話ください。

 ロシアはアジアとヨーロッパのどちらにも属していると言えます。アジア市場にも、ヨーロッパ市場にも主要なプレーヤーとして関心を寄せています。もし、ヨーロッパ市場が困難にぶつかるとアジアの市場へ製品を輸出します。ロシアの主な輸出品は石油と天然ガスで、大部分をヨーロッパへ輸出します。

 しかし、2014年以降、対ロシア経済制裁により、ヨーロッパへの輸出が困難に直面しているため、今ではアジア市場への関心が高まりつつあります。アジア最大の市場である中国を天然ガスで供給する課題は、10年間話し合った結果「パワー・オブ・シベリア」という2156kmパイプを4年間で建設し、2019年12月に開設という背景があります。

 ――現在、「パワー・オブ・シベリア2」ガスパイプをモンゴル領土を経由する事業が急速に進んでいますね。

 この事業が進んでいますが、近々開始するというわけではないのです。3月31日に、国家安全保障会議の下でガスパイプライン建設事業への協力政策、組織を促進する作業部会が立ち上げられました。ウルジーサイハン・エンフトゥブシン副首相が率いるこの作業部会はD.ツォグトバータル外務大臣、Ch.フレルバートル財務大臣、A.ガンスフ国家安全保障会議書記官をはじめ、他の関係者から構成されています。さらに、3月27日プーチン大統領がガスプロム社のアレクセイ・ミレル代表取締役社長と会談する際、ミレル代表取締役社長が「パワー・オブ・シベリア2」ガスパイプライン建設事業の図面作成を発表し、該当事業に関するフィジビリティスタディ(F/S)を始める許可を取りました。

 ――事業実施関連の交渉がロシアのガスプロム社と中国の中国石油天然気集団公司(CNPC)の間で進行していますが、モンゴルをどんな会社が代表できると思いますか

 私の考えでは、エルデネス・モンゴル公社がこの2つの大きい会社に匹敵し、モンゴルを代表できると思います。なぜならばエルデネス・モンゴル公社はモンゴル政府に所属され、モンゴルの大企業らを統合し、海外にもよく知られているのです。

 ――ガスパイプライン建設による新規雇用創出などの経済的利益については。

 経済的利益について話すのはもちろんですが、「パワー・オブ・シベリア2」のF/Sが最終的にまだ作成されていないため、経済的利益について話すのはまだ早いです。

 ――2000年に「パワー・オブ・シベリア2」事業関連のF/Sが作成されたのですね。これについては。

 2000年にイルクーツクから400km以上に離れたコビクタ鉱床からモンゴルを経由して北京までパイプラインを敷設するF/Sをコビクタ鉱床のライセンスを保有するルシアペトローリアム社が作成しました。このF/Sには年間250億立方mガスを輸送するパイプラインの1050kmはモンゴル領土を経由し、8つのポンプ工場を4年間で建設し、建設中には3700人、建設後には1354人が雇用されるという詳しい調査がありました。

 ――新しいF/Sの作成にはモンゴルも参加しますか。

 そうです。多国の経験によると、ガスパイプラインを敷設するいくつかのオプションがあり、どちらを選ぶかはモンゴル政府、2つの隣国との合意次第です。

 ――モンゴルはこのトランジットにより、どれぐらいの利益を得ますか。

 チュニジア、モロッコ、スロバキア、ポーランド、ウクライナ、ベラルーシなど自国領土でガスを経由する数多くの国があります。例えば2018年に、ウクライナはロシアからヨーロッパへ86億立方mガスを経由し、30億米㌦の利益を得ました。1000立方mガスを100kmで経由すれば約2.5米㌦が支払われる係数があります。モンゴル領土で年間380億立方mガスを輸送するれば、約10億米㌦の利益が得られます。現時点で、年間500億立方mのガスを輸送する可能性について話しています。

 ――この事業実施により、モンゴルはトランジットするだけでなく、消費国になることもできます。モンゴルにとって天然ガスは安価なエネルギー源となる機会がありますか

 私は研究者じゃなくはっきり言えませんが、モンゴルの天然ガス消費量は年間5億立方mに、将来10億立方mに達するとみなされています。ウランバートル市とエルデネト市は大量の天然ガスを消費します。大気汚染削減のために、豆炭、改良ストーブの導入に力を入れていますが、大気汚染を根本的に解決する方法は天全ガスを使用することです。

 ――対中天然ガスパイプライン建設西ルートを含むアルタイ事業を中止した理由は何ですか?

 この事業に計画された通りパイプを敷設するには数多くの困難があります。まず、輸送距離は比較的に長く、高山をはじめ自然の障害物も多いです。次に地震活動が活発な地域を通過します。また、世界遺産としてユネスコ(UNESCO)に登録されたウコク高原自然保護地、政治が混乱状態に置かれている新疆ウイグルの領土を経由するなどの困難がありました。モンゴルの場合は敷設ルートが短く、ほとんどが草原にあるため、安価で高速に敷設できます。舗装道路、鉄道などのインフラ整備も充実されています。

 ――カザフスタンもガスパイプを自国を経由する希望を示した。これについてお聞きしたいですが。

 今年の初めにカザフスタンのエネルギー大臣がロシアの産業エネルギー大臣と面会する時、カザフスタンの領土を経由しガスパイプラインを建設する要望を示しました。この直前に、ロシアの産業エネルギー大臣はモンゴルを経由するガスパイプラインに関する研究作業が始まったと発表しました。

 ――カザフスタンも東部地域をガスで供給する関心があったのでしょうか。

 カザフスタンは豊富な天然ガス資源を有します。ロシアの天然ガスに加えて自国の天然ガスを中国へ輸出する関心はあります。

 ――近年、ロシアからの投資が急激に減少しております。その理由についてどう思いますか。 1920年代まで、モンゴルは布、お茶、小麦粉、米など全ての製品を中国から輸入していました。人民革命の後、ロシアから購入していたが、社会主義の崩壊により、また中国から購入することになりました。ロシアとモンゴルの輸出構造は非常に似ており、両国は主に原材料を輸出しています。中国は産業製品と我々のニーズに合う最終製品を生産しています。私にとってはロシアからの投資が減少したことをすごく心配しています。ロシアの投資を誘致するための政策を策定し、実施する必要があると思います。

 ――ありがとうございました。