バトトルガ大統領就任からの一カ月

政治
41@montsame.mn
2017-08-11 13:07:55
 モンゴル国第5代大統領ハ ルトマー・バトトルガ大統 領が就任してから一ヵ月が 経つ。新大統領の会議での言 葉、その表明した立場にお いて国民の目をいちばん引き つけたのは、モンゴル銀行総 裁、国際通貨基金代表との面 会だった。モンゴル銀行の N.バヤルトサイハン総裁が国 際通貨基金の拡張経済支援プ ロジェクトに参加したことに より、モンゴル銀行は内部改 革をせざるを得なくなってい る。拡張経済支援プロジェク トの可決から2ヵ月後に政府 が仕事始めで子ども手当ての 支給を始めたことについて国 際通貨基金は批判している、 とした。 
 国際通貨基金の出したプロ ジェクトの主なスポンサーは アジア開発銀行で、彼らは家 畜および鉱物資源認可を担保 にしたローン組みを廃止すべ きとの意見だ。アジア開発銀 行はこのプロジェクトでモン ゴルに13億米ドルの経済支援 を行うという。しかしモンゴ ル人にとって担保にする主要 な財産は家畜だ。
 モンゴル銀行総裁の報告を 受けてバトトルガ大統領は国 際通貨基金のモンゴル担当部 署コシ・マタイ署長、在モン ゴル代表ネイル・サケル氏と の会談時に「プロジェクトに おいて家畜を担保にすること を禁止する取決めは現実的で はない。家畜はモンゴル人の 代表的な財産だ」と訴え、自 らの立場を明らかにした。さ らに、石炭の価格上昇は国家 の経済成長を示すものではな いと注意を促した。
 たしかにモンゴル人の特性 として、家畜は彼らにとっての主要な資産である。もし資 産でないとするならば、牧畜 業はモンゴルにとって何のメ リットにもならないと言え る。このような意味でモンゴ ルの伝統的生活を市場経済と 結びつけて進行させる方法を 模索している点が、バトトル ガ大統領にとって重要な一歩 であることは、国内外経済団 体の代表らとの会談時におけ る発言や態度で見てとれる。
 それ以外にもモンゴル人が 頭を痛めているのは子ども手 当ての問題だ。国際通貨基金 はこれを福祉であるとして、 すべての児童に支給すること を認めていない。これについ てバトトルガ大統領は「二つ の大国にはさまれた人口の少 ないわが国にとって子ども手 当ては人口増加のための政策 だ。これは福祉ではない」と して国際通貨基金との会談時 に明確に宣言している。
 大統領選挙で浮上した銀行に関するもうひとつの問題は 国民の給与と年金、大学のロ ーン型奨学金だ。民間銀行は 年金ローンに一ヵ月2%、一 年24%の利子をつけている。 モンゴル銀行の報告では、国 民が民間銀行から融資を受け た給与型貸付や年金ローン は2017年6月30日の時点で2兆 8453億1000万トゥグルグだと いう。
 以前のモンゴルは国際機関 とのプロジェクトを立ち上げ る際には内密な会合を行い、 増税しながらも賃金を上げな いのは国際機関の案件だと説 明していた。だがバトトルガ 新大統領はこの慣習を打ち破 った。国際機関から経済支援 を受けてもよいが、それはあ くまで重要政策である人口増 加、国民のライフスキルの維 持と向上のためのものである べきだという姿勢を、国民が 評価しているのである。
 オフショアという言葉が2016年の国会議員選挙での流 行語になって久しい。もとも とこれはモンゴル国民の生活 にはなじみのない新しいもの だ。ただ、政治家の闘争に利 用されたものだと見てよい。 49人のモンゴル国民がオフ ショア地域に160億米ドルの 預金をしているという統計が ある。しかしこれを証明する ものは何もない。そしてそれ に対応できる法的環境もモン ゴルにはない。
 しかし所得申告に関する 法律で、自己申告の項目を 2017年に追加した。これは 政治家やその親族はオフシ ョア口座を所有していない ことを申告しなければなら ないとするもので、申告を しなかった場合には処罰が 下される。今までのお手上 げ状態を思えば、助け舟が 現れたと言ったところだ。 現存する法的環境にしたが ってバトトルガ大統領はオ フショア口座の預金をモン ゴル国内に移すように呼び かけた。しかしこれはあく まで呼びかけであり、拘束 力はない。
 その声明は「国際通貨基金 および協力関係にある国際経 済機関では42カ国をオフショ ア地域として制定している。 このようなオフショア地域に おいて49人のモンゴル国民が 口座を所有していることが国 際調査報道コンソーシアムで 報告された。
 政府高官および政治家、国 家公務員、そのすべての関係 者がオフショア口座に預金す る行為は、その金銭の出どこ ろが合法的か否か、所定の税 金を支払ったか、所得申告を 所定の方法で行ったかなどを曖昧にし、正義を信じる国民 の信用を失っている。オフシ ョア地域に口座を持つ政治家 および国家公務員、その関係 者に対し2017年7月24日から 49日以内にオフショア口座を 解約し、その金銭をモンゴル の銀行に預金するよう呼びか ける」といったものだ。
 大統領選挙の際に、これに 負けないほど国民の関心を引 いたのは官僚職を600億トゥ グルグで売ろうとした匿名の 3人による映像だった。バト トルガ大統領はこれについて 汚職対策局や総検事などのあ らゆる人物と面会し、方向性 を示した。面会では主に、官 僚職の売買が行われているこ とが事実だとすればその主要 人物に処罰を下すことについ て話し合われた。結果とし て、これについての取調べを 行うこととなった。これは法 を厳格に守るというバトトル ガ大統領のやり方であろう。
 法を厳格に守るといえば、 バトトルガ大統領はS.バヤ ル、M.エンフサイハン両大使 の罷免について国家との議論 の末に結論を出した。これに ついて国民からは賛否両論が ある。Z.エンフボルド大統領 府長官は法的立場を示した。 彼によると選挙運動に現職官 僚である大使が参加したこと は違法であるという。 モンゴル国第5代大統領の 就任宣誓を行ってから一ヵ月 の間に政府高官や海外の重役 たちとの会合を通してこのよ うに明確な発言や立場を表明 してきた。これからよりはっ きりとした正義の政治による 活躍を期待してやまない。
本社解説者:G.エルデネバト