馬頭琴製造の達人に聞く

カルチャー
41@montsame.mn
2017-04-26 16:18:07
 この世を包み込むような馬 頭琴の2本の琴線の優しい音 色を聴いて、モンゴルの大地 を想像する外国人は少なく ない。モンゴル人も馬頭琴 を重んじ、自分たちの生い立 ちと先祖の聖なる歴史を、こ の楽器がしっかりと繋いでい ると考え、家の北側の上席に 飾る。そこで、馬頭琴の名匠 を訪ねてみた。

 馬頭琴製作に 最も適した木材は白樺、西洋 杉、松である。製作に没頭し ている30代の男性は周囲から は超然としているように見 えた。人が入って来たことに も気づかないで、薄い平ら な木と格闘している、この人 が「Bayar and Brothers」社 のB.バヤルサイハン社長であ る。この興味を惹く姿勢は良 い馬頭琴を作るにはとても大 事なことだ。彼の叩く平面の 木材は馬頭琴の本体である四 角い箱の半分である。こうや ってトントンと叩くのは、木 の音質を整えるためだ。バヤ ルサイハン氏の話しによる と、木にはそれぞれ、自分の 音律、つまり「声」があると 言う。
 馬頭琴製作者は木の声 を聴き、自分を理解してもら うことが最も大事だ。 木を叩いて音調を整える と、馬頭琴は自分の声が出せ ると言う。馬頭琴の中に穴が ある四角い箱を「ツァル」と 呼ぶ。この部分の木質の音を 整えないと、馬頭琴の音色は 綺麗に流れ出ない。彼は「人 はそれぞれ、ツァルの音を整 える方法を知っています。あ る人は木を音質に合わせ、あ る人は厚さと薄さをチェック します。私は叩いて、音質を 整えます。木材の音を整える にはかなりの技術と熟練が必 要になります。もし、ツァル の音を良く整えなかったら、 どんな良い琴線があっても馬 頭琴は綺麗な音色を出すこと は出来ません」と語る。 その木がどんな音色を出す かには多くのことが影響す る。馬頭琴を作る木材は何度 も検査して選ぶ。そもそも、 どんな木材を選ぶかから馬頭 琴を作る作業が始まる。山の どこから、樹齢何年の、どの ように保存された木材を選ぶ かを決定してから、木材を買 う。馬頭琴を作るのに最も適 した材料は白樺と西洋杉と松 の木である選んだ木材を陽光 で正しく乾かせるが、どうや って乾かすかは、その製作者 なりの方法があり、これは秘 密である。どのように正しく 乾かすかで、材質も良くもな る。彼は、「私は20年以上も 馬頭琴を作っていますが、私 が初めて馬頭琴を作るために 乾かした木材は今でも大切に 保管しています。最も大事だ と思った注文に、その木材を 使うつもりです」と話してい る。最初に、馬頭琴の頭の部 分を製作する。  
 
 それから、取 手を作るので、注文した人の 特徴に合わせて、幅を薄く するか厚くするか、長くす るか短くするかを決めて作 る。この間に、他の部分も作 る。最後にツァルを作るの で、叩いたり、小さい面白い 道具で切ったり、カンナで削 ったり、磨いたりする。馬頭 琴の琴線の1本は100本から 120本の尻毛から成るので、 良い馬頭琴を作るには道具が 影響される。馬の尻尾を楽器 に結ぶ時に破れない堅い物を 選択する。見ると、2本の琴 線があるが、実は1本の琴線 は100本から120本の尻毛から 出来ている。従って、一本ず つ良くチェックする必要があ る。次の段階で、選んだ尻毛 を加工する。人は自分なりの 仕方で加工するが、注意する のは尻毛を傷つけないよう に洗うこと。バヤルサイハ ンさんは尻尾を洗うのに石 鹸を使う。もし、他の洗剤で 洗うと、尻毛の油性と固質が 無くなるのだと言う。このよ うに、琴線を準備した後で、 部分と部分を結ぶ。馬頭琴の 特徴は釘を使用せず、メタル も利用せず、鉄が入らない楽 器であること。その後、色で 染める。
 馬頭琴の本体が出来 上がった時、準備していた琴 線を結ぶ。ツァルの中に調律 を加える。これが琴線から出 る音色を整えて外に音を流し 出す。最後に、馬頭琴の二本 の琴線で引く曲や弾く人に合 わせて、様々に音を調律する と言う。バヤルサイハンさん は2009年に「モンゴル馬頭琴 の基準」という座談会を主催 し、これを承認させたこと は、彼の20年間の努力の成果 であるという。