「正義、公正、法の支配、思想を広げ、機会の平等を実現し 倫理観に満ちた秩序のある社会づくり」が目標

社会
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2019-11-12 13:57:00

 2019年6月8日、モンゴル政界にお いて新たな政党が結成された。その名は「正義党」。最高裁判所の政党登録承認手続きを経て、9月14日、公式に第35番目の新政党として誕生した。バトバヤル・ナサンビレグ党首に、政界入りのきっかけ、新政党の特徴などについて聞いた。

――結党の流れについて教えてください。

 結党への流れは昨年3月ごろから始まった。準備作業ユニットは同年9月に発足され、結党への流れが一気に加速。今年1月、創設メンバーによる第1作業ユニット会が開かれた。そして6月8日の結党宣言に向けた党大会では「正義党」は初めて形として誕生したわけだ。思いやり、調和、団結力、言葉ではなく行動、具体策、結果主義、長期的な成長とビジョンを重んじる元日本留学生らが「正義党」を立ち上げるイニシアティブを打ち出し、政治理念と共有の価値観を持つ人々の間で横軸の広がりを見せ ている。

――どうして「正義党」なのでしょうか?その名称について教えてください。

わが党の名称の由来は、英語のジャスティス(JUSTICE)です。モンゴル国立大学文学部哲学研究科のD.バトチョローン教授がジャス ティスの翻訳で最も意味合いが近 いのは「正義」とおっしゃり、その他に思考、行動、公正、公平、司法などの広い意味が含まれるとした。正義とは我々の思想、理念、価値観を総合的に捉えられる言葉だと考えて、わが党を「正義 党」と名付けた。

――正義党の目標とは?

 モンゴルは民主主義、自由市場 型経済体制へ転換してから30年を経とうとしている。その間、こうした体制移行は正しかったことを示す例を多数挙げられるが、良く ない点では、不公平な富の再分配、格差社会の出現、失業と貧困問題の浮上、人権侵害、不公正の横行、倫理の堕落、自然環境の破壊、職権乱用や収賄をその問題点として数えられるだろう。山積みの問題は、若者を精神的に追い詰 め、将来に対する不安と恐怖感を煽り、彼らは夢を追い求め、就労に励み、きちんとした収入がある暮らしが出来なくなっている。一 握りの政治家の傲慢さに倫理と法律が負けており、立法と司法、行政といった国家の主要機関が権力争いに落ちてしまい、国民がその弊害を被っている。利益組織に肩を持つ歴代政権と政治家に対する不信感が膨らみ、国民の政治不信を買っている。だから、次世代を担う若者らに、母国において精一 杯頑張り、その努力が実って、国家の発展へ貢献しようとの気持ちを失わせ、海外へ移住との選択肢を強いる。その分、国は衰えていく。国内秩序は乱れ、各人員が社会ルールを無視するなど、倫理の堕落と不正が横行した。つまり、 社会主義制度から資本主義と言わ れた民主主義、市場型経済体制への 転換期において、モンゴル人が作り出した新たな体制に欠陥があってからこそ、構造上の困難が生じ、民主 主義の定着過程において政党及び国 家は利益組織の手に入り込んでしまったことが結党の発端である。我 々は民主主義の基礎概念の一つで ある「正義」、「公正」、「法規 範」、「思想」を広げ、機会の平等を実現し倫理観に満ちた秩序のある社会づくりを目指し、それを 次世代に託すことを目標とする。そのため、基礎教育。言い換えると 「正しい人間の人格づくり」は優 先事項として位置付けられる。これは汚れた既存勢力が成し遂げられない難題で、むしろ新たな政党 は正しいアプローチと手順によって丁寧に実施することで実現できると考えられるからだ。

――先ほど、「正義党」の結党経 緯で、元日本留学生がイニシアティブを出したとおっしゃっていましたが、ナサンビレグ党首も元日本留学生会JUGAMO会の代表を務めています ね。元日本留学組の特徴とその強みとは何でしょうか

 わが党の中枢は、元日本留学組の30人~40人である。日本留学とは、社会主義時代に日本政府の無償資金援助によるカシミヤ・ ラクダ毛の製品づくりに特化したゴビ・コンビナートの建設へ遡る。1990年代の体制転換から、日本政府はモンゴル人留学生枠を4人から8人へ、そして16人との足し算で、現在その数は国費や私費を合 わせて年間400人~500人。現在、 在日モンゴル人留学生数はおよそ3000人だという。元日本留学組に共通するのは、頼り甲斐のある、 嘘をつかない、時間にせっかち、 計画性がある、和と秩序、上下関係を守りたがる、他人に対する思いやりがある、他者への迷惑をしない、謙虚で優れた職員になろうとする点である。元日本留学組は 1995年にJUGAMO会を創設。日本という共有価値観に基づく仲間連携の促進、モンゴルと日本の関係促進に寄与、先端技術や都市文化などについて共有、国家繁栄への貢献といった3つの目的のために立ち上げられた。JUGAMO会は専門性に特化したクラブ、趣味クラブなどの常設クラブを運用。その一つには、 社会における問題と不正を是正するための「カイゼン」クラブが あった。カイゼン・クラブを通じて、社会の不正と乱れた秩序を正すには政治活動の重要性を認識し 始めた。これこそは、「正義党」の始まりであった。ここで述べて おきたいのは、JUGAMO会は政治思想にとらわれず、政治概念に対してオープン。その例は、モンゴル の二大政党には、元日本留学組が多数いる。G.ガントゥムル元教育相、D.ガンホヤグ元鉱業相、R.ジ グジド元鉱業相、現役市議会議員 にTs.バイガルマーさん、M.トルガト氏もいる。

――政治理念について教えてください。

 中道派とは何でしょうか我々は勉強会や集会、独自の調査などを通じて、次のような理念に採択した。正義党は「法規範」、 「公正」、「公平」、「思想」、「正 義」、「機会の平等」のため、秩序を守るために政治闘争を行い、「自由と機会の平等、法の支配と公正、教育と調和」を重んじる形でモンゴル国において秩序を広げていく。モ ンゴルは長期的に安定し、自立した発展を遂げ、主権と独立を有する国であることを目指す。国民には幸福、物質的な豊かさを実現させる具体策だと信じている。

――今後について教えてください

 モンゴル人のために活動を展開し、存続出来る倫理と規則のある政党として定着するまで全力を尽くしたい。そして2020年の総選挙に向けて選挙対策をきっちり行い、人力と資力、選挙公 約などの準備を進めていきたい。最も大事なのは各報道機関を通じて「正義党」のことを広げることだ。