2017年の国内10大ニュース

政治
41@montsame.mn
2017-12-25 11:49:25
1.バトトルガ氏が第5代大統領になり選挙の歴史ページ数が増える

 第7回大統領選が6月26日に全国で行なわれ、国会に議席を有するモンゴル人民党、民主党、モンゴル人民革命党からM.エンフボルド氏、Kh.バトトルガ氏、S.ガンバートル氏らが立候補したが、3候補者のいずれもが過半数の得票を得なかったため、2回目の再投票が7月7日に実施された。モンゴルで2回目の投票が実施されたのは選挙史上に残る出来事だった。第1回目の得票率が最も多かったモンゴル人民党のM.エンフボルド氏と次点の民主党のKh.バトトルガ氏が決戦に持ち込み、Kh.バトトルガ氏が50.61%の得票率でモンゴル 国の第5代大統領に選ばれ、7 月10日大統領就任の宣誓式を挙げた。2016年度の総選挙では国民がモンゴル人民党に期待し、国会76議席中の65議席を独占した。しかし、大統領選では選挙人の多くが民主党を支持したことは予想外の結果で、例年より白紙投票が多かったことが特徴的であった。


2.フレルスフ氏が首相とモンゴル人民党党首に就任

 大統領選に敗退したことで、国会に65議席を有するモンゴル人民党の一部は政党の幹部や政府に責任を追及し、これに関連し、J.エルデネバト内閣が9月7日に解散に追い込まれた。これにより、副首相を務めていたU.フレ ルスフ氏が10月4日、モン ゴル国の第30代首相に就任した。U.フレルスフ氏が首相就任の際、人民党院内会派の支持を完全に得られなく、野党の民主党院内会派、人民革命党、 無所属議員の支持により首相になった経緯も異例な出来事となった。内閣が変わるたびに組織改編する慣例にU.フレルスフ首相が従わずに新たな閣僚を任命し た。また、U.フレルスフ首相は11月20~23日に開催されたモンゴル人民党大会議にて党首に選ばれた。




3.経済的苦難及びIMFからの支援

 モンゴルは経済的困難の克服のために様々な国内措置を取っていたが、国際金融基金(IMF)からの支援をも受けることになった。合計55億米ドルをIMFや国際機関、支援国から3年間の融資で決まった。初段階の融資が既定期間にモンゴルへ入ることにより、投資家のモンゴルへの信頼度が増し、経済的な逼迫が減少した。そのほか、償還期限が迫っていた開発銀行の5億8000万米ドルのユーロ債をホラルダイ債の資金調達により返済できた。さらに、来年度に償還期限を迎えるチンギス債とディムサム債を今年、資金調達したゲレゲ債の8億米ドルで返済する。こ れで、開発銀行の5億8000万米ドルのユーロ債、中国人民銀行(中央銀行)との通貨交換(スワップ)協定、チンギス債、ディムサム債などの償還を解決することで、モンゴルは2021年までは債務不履行(デフォルト)のリス クを回避できるようになった。フィッチ・レーティングスもモンゴルの経済回復と歳入、外貨準備などの改善を評価し、格付けを「-B」から「B」に引き上げた。


4.チャルコ社の債務を100%完済

 モンゴルのエルデネス・タワント ルゴイ社は中国のチャルコ社から石炭による返済という条件付きの債務3億5000万米ドルを3月30日に100%完済した。債務完済により、西と東ツァンヒから採掘された石炭の収入が国家予算に編入されることになった。2016年9月には1㌧当たり27米ドルで販売していたのが、2017年には 72.5米ドルに引き上げた。従って、政府はモンゴル全国民に所有させたエルデネス・タワントルゴイ社の1072株(一人当たり)の配当金を“生き返えらせる”ことができた。これにより、資本市場も回復し、経済に絶好の機会が訪れるのではとの期待感が出てきた。





5.ウムヌゴビ県に50MWTの風力発電所が稼動

 モンゴル経済安定開発向上計画の下で、モンゴル企業と日本の国際協力機構(JICA)、欧州復興開発銀行 (EBRD)の協力によってウムヌゴビ 県で50メガワットの風力発電所を建設し、10月6日に運転開始した。 このツェツィー風力発電所はモン ゴルでの民間の投資による2番目の風力発電所で、発電量は50メガワット。また、JICAが民間企業への融資で行った事業としてはこれが初めてだという。発電所の稼動により、モンゴルの中部の電力を供給し50~70 人の雇用創出が出来た。発電所は今年4200万キロワットの電力、来年からは25年間かけて年間平均2億100万 キロワットの電力をセントラル電力網に供給する。さらに11月25日、ウランバートル市ソンギノハイルハン 区に10メガワットの発電と農業を組み合わせた「モンナラン太陽光発電所」が本格稼動を始めた。これらの発電所はモンゴルの再生エネルギー分野の発展に大きく寄与している。


6.モンゴル人医師の優秀な能力を 世界的に認定

  第一総合病院の肝臓移植手術団の団長兼国立医科学大で教鞭を執るO.セル ゲレン博士が世界のトップ外科医5人の一人に選ばれた。2017年度の“外科 医オリンピック”に世界70カ国の医学者が立候補し、トップ5人にモンゴル 人の医師が選ばれた。モンゴルは肝臓移植手術では世界46番目の国、発展途上国では初の快挙となった。国際 的レベルで初めて肝臓移植を実施して いる国では50%の成果を挙げている。 肝臓移植の結果を3ヶ月後、1年後、3 年後、5年後と追跡調査しており、モンゴルの場合、3年後の生存率結果では、3ヶ月後で91%、1年後の平均は89 %の成果を挙げている。これまでに全国で140人に腎臓、36人に肝臓、5人に骨髄移植、14人にアイバンク移植手術をそれぞれ実施した。


7. 山頂への野心とオトゴン テンゲル山での大事故

 モンゴルの登山家スポーツ・マスターのN.スレンジャブ氏の率いる 27人のアマチュア登山家が10月21 日、オトゴンテンゲル山頂に到達したが、下山の際に雪崩に巻き込ま れ、17人が死亡した。ザブハン県オトゴン郡にあるオトゴンテンゲル山(標高4008㍍)は県庁所在地から200 ㌔、オトゴン郡庁所在地から45㌔離れているが、厳冬のため、事故現場での捜索作業が困難を極め、緊急事態局、警察庁、プロ登山家、医師などによる捜索隊166人がヘリコプター2機や他の機材を用い、3日後に標高3200~3800㍍の地点で全員の遺体を見つけた。この登山史上初の大事故はハイキング、特に高山登山を行うNGOやクラブに生じ得るリスクを考え、安全を優先するという大切さを義務付ける残念な出来事となった。 大統領をはじめ国会議長、首相らが登山家の遺族に哀悼の意を表明した。


8.記憶力大会、モンゴル勢が驚異 的な記憶力で世界を圧倒

 モンゴルの記憶アカデミーの選手らが2017年に世界各国で行なわれた46の記憶力選手権大会に出場し、合計760個のメダルを獲得、世界最高記録を更新している。12月5~9日に中国の深圳市で開催された10万米ドル賞金の記憶力大会に、同アカデミーの女子4選手が出場し、5つの記録を破った。中でも双子のN.ムンフシュル選手とN.エンフシュル選手が世界2記録でギネスブックに登録されることになり、10万米ドルの賞金を獲得した。また、モンゴルの記憶アカデミー20人の選手らは、12月1~3日、 インドネシアの首都ジャカルタで開催された前回の世界記憶力選手権大会で、子ども、ジュニア、大人部門で参加し、大会90個メダルのうち57個を獲得し、7つの世界記録を打ち立てた。


9.世界ランクを覆した ソミヤ柔道選手が労働英雄に!

 素晴らしい技で世界柔道界を驚かせているD.ソミヤ選手の功労を高く評価し、大統領令により、モンゴルの労働英雄賞を授け、労働英雄賞の「アルタン・ソヨンボ」メダルとスフバートル勲章が授与された。ソミヤ選手は2016年リオデジャネイロオリンピック大会で銀メダル、2017年ブダペスト世界選手権で金メダル、2015年アスタナ世界選手権では銅メダルなど、国際的大会で数多くのメダルを獲得した。さらに世界柔道連盟(IFJ)の2016年度と2017年度ランキングでは57キロ級で連続1位になっている。





10.モンゴル初の人工衛星 「マザーライ」が成功裏に発射

 6月4日、モンゴル国立大学の若手学者らにより製作されたモンゴル初の人工衛星「マザーライ」を、アメリカのフロリダー州ケネディ宇宙セ ンターからSPACEX社のFALCON9打ち上げ機により発射された。絶滅の危機 にさらされているゴビ熊の「マザー ライ」から命名されたこの超小型衛星はBIRDS国際宇宙開発プロジェクト の一環で製作されたもので、本プロジェクトは宇宙新興国との国境を越えた学際的な衛星プロジェクトであ る。プロジェクトの目的は衛星プログラムの最初から最後までの一連のプロセスを学習するほか、大学における宇宙人材育成のための基礎を作り、各国大学における宇宙教育・研 究プロジェクトを立ち上げ、未熟な宇宙プログラムを相互に助け合う国 際的な人的ネットワークを形成することである。地球から400キロにある衛星から1日5~6回情報を収集する。 衛星を発射することでモンゴルは単独での宇宙研究、国土地理写真の撮影、自然災害の防止などが可能になる。7月7日、人工衛星が軌道に乗ったが、約1年後には宇宙の藻屑となって消えるという。