「麗しきモンゴル」と日本

政治
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2022-04-29 10:26:10

 日本の林芳外務大臣がモンゴルのバトムンフ・バトツェツェグ外務大臣の招請により430日から52日にかけてモンゴルを訪問する。訪問に当たり、林外務大臣からの寄稿文をお届けする。



ヘンティ、ハンガイ、ソヨンの高く美しき嶺々

北方のきらめきとなりし、緑の山々

メネン、シャルガ、ノミンの広大なるゴビ

南方の秀美となりし、砂丘の海原

これが、わが生れし故郷、麗しきモンゴル

D.ナツァクドルジ「わが故郷」より)

 

モンゴルの誇る詩人ナツァクドルジが「わが故郷」の中で歌い上げた美しい国、モンゴル国を、日本とモンゴルの外交関係樹立50周年の記念すべき慶節に、日本の外務大臣として訪問できることを大変嬉しく思います。


  •  日本とモンゴルは、「戦略的パートナー」

かつて日本とモンゴルとは近くて遠い国でした。東西両陣営に分かれた両国は1972年に外交関係を樹立した後、冷戦下の様々な制約の中で交流の道を歩みました。

 

そのような中で、日本が1977年にゴビ・カシミヤ工場の建設を無償で支援し、モンゴル産カシミヤ製品の生産力と世界的評価を高める基盤作りに貢献したことは両国史の一頁に刻まれています。

 

大きな転機は1990年に訪れました。モンゴルはこの年、民主化、市場経済化に舵を切り、日本は、このモンゴルの勇気ある挑戦を

世界に先駆けて支援しました。以来、両国の関係は飛躍的に発展し、

今や、日本とモンゴルとは自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有する「戦略的パートナー」です。


  •   日本とモンゴルとの間には「助け合いの精神」がある

多くの方が知るとおり、日本はモンゴルにとってのトップドナーです。しかし、両国の協力は一方的なものではありません。両国の間には、「助け合いの精神」がしっかりと存在します。モンゴルの政府と国民は、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災といった災害に我が国が見舞われた際に、即座に温かく力強い支援の手を差し伸べてくれました。未曾有の困難に遭遇した日本の人々は、どれだけ励まされたことでしょう。

 

両国の間では、要人往来が頻繁に行われ、政治・安全保障を始めとした様々な分野で対話・協議や交流が定期的に行われています。また、地域・国際場裡での両国の協力も年々深化しています。

 

経済・投資分野の協力も着実に進展しています。昨年夏に開港したチンギスハーン国際空港は、日本とモンゴルの協力の新たな象徴です。

建設には日本の円借款が活用され、運営には日本企業が参画しています。今回、私自身も初めてこの空港を利用することになりました。また、通信分野においても緊密な関係は深く根付いています。

 

文化・スポーツ分野では、モンゴル出身力士が大活躍をされ、大きな存在感を示しています。彼らが両国の相互理解と親善に果たした役割は大変大きく、また、彼らの勇姿に、これまで、多くの日本人とモンゴル人が元気づけられてきたことと思います。

 

  •  日本とモンゴルの大きな違い

普遍的価値を共有する両国ですが、大きな違いもあります。日本は海に囲まれた国であり、モンゴルは海への出口を持たない内陸国であるということです。

 

このような特殊で、宿命的とも言える地政学的条件の中、1990年以降、民主化の道を選び、日々変容する地域や国際情勢の中で、自由、民主主義、人権、法の支配といった価値を守り抜き、PKOを始めとする活動を通じて国際社会に貢献し、栄誉ある地位を占めてこられたモンゴルの皆さんの英知と勇気を心から称えたいと思います。

 

地政学的条件が大きく異なる日本とモンゴルですが、「自由と民主の精神」を共に有する仲間として、モンゴルの「第三の隣国」として、日本はこれからもモンゴルと共にありたいと考えます。


  •    国際社会は試練に直面している

現在、国際社会の変動が加速化、複雑化しています。現在のウクライナ情勢に見られるように、これまでの国際法と国際的規範の歩みと蓄積を全て否定するような、明白な国際法違反、力による一方的な現状変更の試み等、アジアを含む国際秩序全体の根幹を揺るがす深刻な事態も生じています。こうした中にあって、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持し強化していくことは、かつてないほど重要です。

 

ナツァクドルジの「わが故郷」は、単にモンゴルの美しい自然をうたいあげた詩ではありません。詩の後半において、ナツァクドルジは、モンゴルの長い歴史と伝統に触れ、民族の誇りを持って、愛する故郷を守り発展させるのだという決意もうたっています。彼のこの強い思いは、21世紀のモンゴルの人々に脈々と受け継がれていると思います。

 

日本は、次の50年も、誇り高きモンゴルとともに発展していきたいと思います。


  •   これからの、日本とモンゴル

私とバトツェツェグ外務大臣は、本年の日本・モンゴル外交関係樹立50周年を、これまでの50年を振り返り、次の50年に向けての礎・絆をつくる年とすることで一致しています。また、両国首脳は、今年を「青少年交流推進年」として、次世代を担う両国の若者の関係を深めるような事業・行事を行っていくことでも一致しています。

 

次の50年、日本とモンゴルの人々がもっと互いを知り、認め合い、両国が力を合わせ、自国、両国、そして地域や世界の未来のためにできることはないか。両国でこれを真剣に考え、新しい物語を紡いでいく。私は、今回のモンゴル訪問がその後押しとなることを願っています。

 

最後になりましたが、私は、ナツァクドルジが詠んだ「麗しきモンゴル」を、この目で見、そこで生を紡いできたチンギス・ハーンの子孫達と対面で、腹蔵なく語り合うことができる幸せを感じています。




日本国外務大臣

林芳

 

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