ボルガン県に住むカナダ人のジェレミさん:モンゴル産の美味しい牛肉を輸出可能

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2020-12-16 13:13:27

 ボルガン県のホタグ・ウンドゥル郡に、カナダ人のジェレミ・ティセンさんが家族とともに住んでいる。肉牛肥育ビジネスに成功しているジェレミさんの家を取材のため、訪れた。農牧業を経営している人なので、私たちが訪れた時は不在だった。彼の次女はモンゴル語がペラペラで、我々を迎えた。

――ホタグ・ウンドゥル郡 には、いつ来たのですか

1993年11月にモンゴルに初めて来ました。初めて来た時、あるNGOの仕事でウランバートル市に2年間、モンゴル語の勉強に励ました。この間、田舎へよく行きました。モンゴル西部のバヤンウルギー、 ホブド、ゴビアルタイ県へ、 東部のドルノド、スフバートル、ヘンティー県へ行ってみました。私のモンゴル語の先生はホタグ・ウンドゥル郡出身でした。この先生からホタグ・ウンドゥル郡の住民に野菜栽培の方法を教えてあげてほしいと依頼がありました。この先生は当時のボルガン県知事やホタグ・ウンドゥル郡長と知り合いなので、契約を結ぶのに支障はなかったで す。1996年に、初めてこの郡に来て以来、1996年~2008年 までこの郡の住民に野菜栽培方法などを教えました。

――現在、牛の肥育牧場を経営していますね。農業学を 専攻しましたか?

カナダでは牧場で育ちました。この地域の状況を見て、農牧業を経営する可能性があると思いました。2007年に、ある家族から子牛3頭を購入し、肥育させて食肉用として出荷しました。この子牛の肉を食べた私の友達らは、「この肉はどこで購入したんですか。柔らかくて美味しいで す」とコメントしました。私は「自分で飼育した子牛の肉ですよ」と言ったら、彼らは 「私たちはこんな肉を買いたいです」と興味を示した。 これがこのビジネスの始まりです。2009年、「Xanadu Razorback」会社を正式に設 立しました。首都に食肉を供給し、冬季には一部の人々からの注文が始まったのです。その時、ビジネスとしての可能性があるとわかりました。

―― 最初からビジネスとして見たのですか。また、農牧業に直面している課題の解決という視点で見たのですか。

モンゴルでは過放牧、牧草地における家畜の収容能力低下などの課題が直面しており、なんとか解決しなければならいと思いました。モンゴルの家畜頭数はおよそ7000万頭で、その52%は出産しない家畜(オス羊、ヤギ、牛など)。この家畜を牧場で肥育していけば、草地の収容能力が高まります。このような事業を行う企業が多かったらいいと思います。さらにレストランや大規模ス ーパーマーケットでは柔らかく、質が良い肉の購入を希望しています。すぐ利益を得るんじゃなく、今後、波及効果が出ると思います。伝統的な家畜放牧には変わりがなく、遊牧民から家畜を直接購入し、肥育していけばいいのです。わが社は遊牧民から買った3歳の牛を平均90日~120日間、肥育します。この短期間に肉質が良くなります。こうして、遊牧民が 農家と協力し、モンゴル産のブランド肉を国内だけでなく、海外への輸出も可能 となります。この肉は本当に美味しい。なぜならば豊かな草原に放牧され、モンゴ ルの土地に植えられた飼料で肥 育されているからです。モンゴ ル産のこんな牛肉ブランドを開発するのは可能です。体が小さいにも関わらず、肉質は本当に良いのです。

――1年に何頭の牛を肥育しますか。

400~500頭の子牛を購入し、肥育します。いつも3 歳の子牛を購入します。90 ~120㌔に太ります。去年は4 万㌧の肉を準備しました。

――子牛はいつ購入しますか。

遊牧民なら春季、家畜を 購入し、夏に太ってから、秋 季に売ります。 一年中、買います。1ヵ月 に、40頭~50頭の牛をとさつ します。

――この牛肉をどのように市場に供給していますか。

屠畜場で屠殺し、内臓摘出をします。その後、真空包装 します。

――飼料をどのように準備 していますか。

今年、130㌶にわたって飼料、主に燕麦を栽培しています。栽培した燕麦、飼料でサイレージを作ります。現 在、1200~1300㌧のサイレー ジを備蓄しました。一年中使えると思います。また、ぬかと飼料用米を購入します。その中でサイレ―ジは牛の飼育 に 最適です。今年、スーダングラスを栽培してみました。 スーダングラスは栄養分が豊富で、土壌を再生するそうです。春季、スーダングラスを 早期栽培すれば年2回の収穫が可能です。

――肥育の方法については。

どんな飼料をどれぐらいあげるかに関する技術があります。モンゴル牛の品種はそれぞれで、それに適応した肥育方法があります。牛の肥育には長年の経験を活かし、牛の状態を見て、肥育しています。また、獣医にも見てもらいます。検査員は牛の肥育による牛肉の検査を実施します。

――この肉は輸出の基準を 満たしていますか。

輸出の準備はすでに出来て います。しかし、量が足りな いです。月内20㌧を輸出すべきです。他の会社と合併し、食肉市場の大規模会社となり得ると思うのです。遊牧民との協力に重点を当てる必要があります。遊牧民が家畜の質向上に、肥育経営の人は肥育 に、食肉生産工場なら食肉の 生産など、それぞれのできることに取り組んでいけば、成功します。食肉生産も安定的になります。食肉価格の変動もなくなります。

――御社には何人が働いていますか

初めて設立した時は、私の奥さん、子どもたちが子牛肥 育を手伝ってくれていました。最初は家族と一緒に、すべての仕事をしていました。 現在、14人の従業員が務めています。すべてこの郡の住民です。ウランバートル市には5 人の従業員がいます。 ――モンゴルで農牧業を経営する可能性についてどう思いますか?

モンゴルで農牧業を経営するチャンスはたくさんあります。カナダの農業分野に直面している課題などは大体解決されていますが、農牧業を始めようとしたら、多額の資本が必要です。でも、モンゴルの農牧業分野における市場規模は大きく、将来性は高いです。

――奥さんは今、何をしていますか。

私の奥さんの名前はロクシ です。画家です。実は最近、 忙しくて、絵を描く時間はあ まり見つからないようです。

――ジェレミさんの兄弟は カナダから来ますか。

2人の兄はカナダで作物を栽培し、牧場を経営しています。両親は数回訪れたことがあります。両親は作物栽培に取り組んでいて、モンゴルを訪れるのが好きです。義理の 両親は何回も来たことがあります。モンゴルの自然が美しく、広い国で、人口も少なく、モンゴル国民は落ち着いた生活を送っています。このような国を離れるのは私にとっては難しいことです。

――ありがとうございました。