FEALACとモンゴル

政治
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2025-08-20 11:45:56

(ウランバートル市、2025年8月20日、国営モンツァメ通信社)モンゴルは、2025年から2027年にかけてアジア中南米協力フォーラム(FEALAC)の議長国を務める予定である。今月20日から22日にかけて、同フォーラムの第10回外相会議および高級実務者会合を開催する。


これに関連して、D.オラムバヤル教授(Sc.D.)が執筆した論考の中から「モンゴル国のFEALACへの加盟」の抜粋を紹介する。


現代の多角的な外交活動では、新しい傾向や変化が顕著になってきている。特に、軍事外交、すなわち平和維持活動や予防的な外交措置、緊急時や危機の際の備えや即応態勢、地域統合などが相互に連動し、大陸を越えた新たな協力の形が生まれつつある。また、アメリカ・モンゴル・日本の三国間協力の枠組み、アメリカ・日本・インド・オーストラリアによる四者安全保障対話(Quad)、中国と中東欧諸国の会議、中国・アフリカサミット、中国と中南米・カリブ諸国の首脳会議などもその一端として挙げられる。外交活動に関わるアクターは拡大し、取り組むべき課題も一層多様化している。貿易、経済、投資、金融、融資、情報通信技術、保健、環境、エコロジーなどの分野が新たな外交課題として浮上し、もはや伝統的な外交手法だけは対応しきれない局面も多くなってきた。第4次産業革命の進展により、外交の場にもデジタル技術が急速に導入され、「デジタル外交」「デジタル大使館」「デジタル大使」「オンライン・フリーダム」「デジタル事務局」といった新しい概念が登場している。FacebookやX(旧Twitter)を活用した「SNS外交」は各国の世論形成や選挙プロセスに強い影響を与えるようになっている。いわゆる「カラー革命」における主要な原動力がソーシャル・メディア・ネットワークであることも明らかとなった。さらに、デジタル化は国防や諜報機関の活動にも深く浸透している。


これらは、多極的外交の新たな潮流を示すだけでなく、多層的かつ多次元的な外交活動のパラダイムを内包している。また、地域の喫緊の課題に対して、中堅国が大国の直接的な関与を経ることなく、主導的な役割を果たし、解決を図ろうとする外交姿勢も顕在化ししつつある。この文脈において、大陸をまたいだ新たな協力の枠組みとして、FEALACにおけるモンゴルの協力のあり方を取り上げることを目指す。


             ーモンゴル国のFEALACへの加盟ー

2010年1月に東京において開催されたFEALAC(アジア中南米協力フォーラム)第4回外相会合でモンゴルは新規加盟国として歓迎され、34番目の加盟国となった。本会合に、D.ツォグトバータル・モンゴル外務省国務長官が率いる代表団が出席し、加盟に際して謝意を表明した


代表団は、太平洋パートナーシップへの参加が、多角的な外交政策および国益に合致しており、アジア太平洋地域における政治・経済パートナーシップに積極的に関与しようとする同国の志向を反映していることを強調した。また、モンゴルはFEALACのプロジェクトやプログラムへの参加、開発課題に関する経験の共有、さらには食肉輸出や鉱業などの分野においてラテンアメリカ諸国との協力を模索する意向を表明した。



会合の期間中、ツォグトバータル国務長官は、中国の楊潔チ(ヤン・ジエチー)国務委員兼外交部長、タイ王国のカシット・ピロムヤ外務大臣、カンボジア王国のハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣、キューバ共和国のマルコス・ロドリゲス・コスタ外務次官とそれぞれ二国間会談を行った。各国は、FEALACの枠組み内および二国間において積極的な協力を引き続き進めることの重要性で一致し、相互支援を改めて確認した。タイのカシット・ピロムヤ外相は、モンゴルに対する支援を拡充する方針を表明し、モンゴル人学生がタイでの短期・長期研修プログラムに参加する機会を増やす考えを示した。



2017年8月、韓国・釜山において第8回FEALAC外相会合が開催され、同フォーラムの「行動計画」が採択されるとともに、「釜山宣言」が発表された。モンゴルからはバトムンフ・バトツェツェグ副外務大臣が出席し、東アジアとラテンアメリカのあらゆる分野における協力を深化させることの重要性を強調するとともに、農業、鉱業、観光分野におけるモンゴルの協力の可能性を紹介した。また、バトツェツェグ副大臣は「行動計画」、FEALAC基金、そして「釜山宣言」に対するモンゴルの支持を表明し、FEALACが両地域間の協力と相互理解を強化するための恒久的な対話の枠組みへと発展しつつあることを強調した。


この機会に、バトムンフ・バトツェツェグ外相は、韓国の新任外相カン・ギョンファ氏、アルゼンチン共和国のホルヘ・マルセロ・ファウリエ外相、パラグアイ共和国のオスカル・カベリョ・サルビ外務副大臣、ならびにメキシコ合衆国のカルロス・イカサ・ゴンサレス外務副大臣とそれぞれ二国間協議を行い、二国間関係および協力に関する意見交換を行った。また同時に、バトツェツェグ副大臣とアルゼンチンのホルヘ・マルセロ・ファウリエ外相は、外交・公用・一般旅券所持者に対するビザ相互免除に関する協定に署名した。



釜山会議には、約20ヵ国の外相・副外相および国際機関の代表が参加し、FEALACが大陸をまたぐ対話の枠組みとして、その存在感を高めていることを示した。モンゴルはこれまでも同フォーラムに継続的に参加しており、2013年の第6回バリ会合には当時タイ駐在のCh.バトトゥムル大使が、2015年の第7回コスタリカ・サンホセ会合には外務省多国間協力局長のG.バトトゥンガラグ氏が、2019年の第9回ドミニカ共和国サントドミンゴ会合にはG.アマルトゥブシン特命全権大使が出席した。また、新型コロナの影響により2021年11月30日にオンラインで開催された第21回高級実務者会合には、外務省米国・中東・アフリカ局次長のD.ニャマー氏および職員のB.ボヤンジャルガル氏が参加した。


FEALACにとって喫緊の課題は、域際協力を技術支援の枠を超えて、ビジネスパートナーシップ、自由貿易と経済協力、産業生産、サービス、デジタル技術といった分野へと発展させることにあると指摘している。また、モンゴル国商工会議所が中南米諸国のパートナーと共催するビジネスフォーラムに積極的に関与することの重要性も強調されている。さらに、近い将来、東アジアと中南米の間で大陸間のハイレベルサミットを開催する必要性があるとする見解も示されている。