希少動物マザーライ頭数、増加

特集
bolormaa@montsame.gov.mn
2022-05-12 10:49:23

414日にオフナー・フレルスフ大統領の発案で「マザーライ(ゴビ・ヒグマ)保護、全国討論会」が政府庁舎で開催された。同討論会では、ゴビ・ヒグマ(Ursus arctos gobiensis)の保護現状、直面する課題、保護対策、絶滅危惧種の保護に関する国際的な経験など4つの議題で討論が行なわれた。自然環境観光省は絶滅危惧の中でも最も絶滅のおそれがある「深刻な危機」に相当する希少動物であるゴビ・ヒグマの頭数を増やし、生息地を保護するために講じた具体的な措置について紹介した。例えば、GPS機能付きの首輪を付けることで広領域に及ぶ生息地の把握が可能となることや、希少動物を保護するために住民参加の必要性についても示した。

 

ゴビ・ヒグマについて...

ゴビ・ヒグマは、モンゴルではマザーライ(モンゴル語:Мазаалай)とも呼ばれ、モンゴル南西部のゴビ砂漠で生息する世界で唯一のクマの亜種である。1920年代初頭、アルタイ山脈西部のアジ・ボグド山で発見され、ロシアの科学者オルロフ氏とソコロフ氏は、ゴビ・ヒグマはクマ科に属すると生物科学事典に登録した。1953年にモンゴル政府はゴビ・ヒグマを保護するため狩猟を禁止した。1960年代からゴビ・ヒグマの研究や調査が開始され、現存する個体数は1520頭以下と推定された。

 

絶滅危惧となった理由について...

ゴビ砂漠でゴビ・ヒグマの食糧となるサイの根、ジャスミン、ブラックベリー、齧歯類、爬虫類、昆虫などが不足したことが一番の原因と考えられる。食糧不足の対策として人工飼料を代替しても、食べ物に敏感であるゴビ・ヒグマはそれらを口にしないという。

ゴビ・ヒグマは元々、肉食動物である。しかし、人々に生息地と食料を奪われ、主に砂漠で生存するようになっている。そのため、食料の77%は植物から、23%は小型動物の肉食で構成される。また、土を掘り動物の死骸を食べるため、自然界の消毒及び地下水の掘削機能だけでなく、食物連鎖にも貢献するという。

 

ゴビ・ヒグマの個体数は...

国際自然保護連合レッドリストの基準によると、絶滅危惧の中で最も絶滅のおそれが強い「深刻な危機」に相当する希少動物である。

 

登録年代別の統計をみると...

1960年代の1520頭、

1970年代には20頭、

1980年代初は2530頭、後半は5060頭、

1990年代に頭数は約30頭まで減った。

2016年の頭数は50頭に増加した。

 

絶滅危惧ゴビ・ヒグマの将来性は...

ゴビ・ヒグマの外観は、ヒグマの外観と似ているが、ヒグマより小型であることが特徴である。平均体長は168㌢、体重は90㌔。夏期は均一な茶色の毛、冬期と春期は濃い茶色の毛と手首や手ひらに白い斑点があるが、年齢が若いゴビ・ヒグマにはそれらの特徴が見られない。そのため、ゴビ・ヒグマの峻別は困難という専門家の意見もある。絶滅危惧と言われているホッキョクグマの頭数は22000頭、繁殖困難といわれるパンダの頭数も1400頭であるが、それらに比較するとゴビ・ヒグマがいかに絶滅のおそれがある希少動物であることが理解できる。