インフラ整備を通じ、障害者をサポート

社会
l.naranzul@montsame.gov.mn
2023-10-12 11:32:30

(ウランバートル市、2023年10月12日、モンツァメ)915日、地方地域における障害者とその家族は、第2の家となる障害者開発センターが出来たことに喜び、アジア開発銀行(ADB)とモンゴル政府に謝意を表した。

 

ADBはモンゴル政府と協力し、2500万米㌦の融資、豊かで強靭なアジア太平洋日本基金(JFPR)から200万米㌦の無償資金協力により、障害者への包括的なサービス確保のために「障害者開発センター」建設プロジェクトを実施している。

 

同プロジェクトの主要目的は、モンゴルにおける障害者を社会的経済的及び教育的に支援し、機会を与えることにより彼らの生活が向上し行政サービスへのアクセスを増加させることである。同プロジェクトにより、フブスグル、アルハンガイ、ダルハンオール、ドルノド、ドンドゴビ、ホブド県にユニバーサルデザインを踏まえたモデル障害者開発センターが建設された。つまり、全県の開発センターで障害者に優しい同じデザインが採用され、リハビリテーション設備の設置など、障害者にとって快適な環境が造られた。最も重要なことは、必要な機械や設備が既に設置されているため、モデル・センターで整形外科用器具、補助器具の部品の修理や作成が可能となったことである。特に地方では整形外科用器具や補助器具へのアクセスが限られ、障害者が障害を補い、学校や職場で成功する可能性を著しく減少させていることから、こうした環境を整えることは地方の障害者にとって極めて重要である。

 

ロブサンナムスライ・オユンエルデネ首相がドンドゴビ、ダルハンオール、ホブド県を訪問の際、新たに建設された障害者開発センターの開設式典に出席した。首相は、開設式の挨拶で「次の開発センター建設をドルノゴビ県とウムノゴビ県に、将来的には国内21県と首都9区に予定している」と述べた。



 

2010年の統計では、全人口の4%を占める障害者やその家族がその他の国民に比べ、貧困に陥り、孤立に暮らしている傾向が高いという。教育、医療、社会的保護、雇用へのアクセスに恵まれず、社会の生産的な一員として認められず、疎外されたままとなっている。従い、6県に焦点を当てた同プロジェクトは、障害者が基本的なサービスや雇用対象となり、経済的及び社会的活動への平等な参加を目的としている。特に、障害のある子どもの医学的早期発見に注意を払うとともに、ソーシャルワーカーの関与、家族面談、情報提供、カウンセリング、問い合わせ専用のコール・センターを設置し、障害者へのサービス提供改善を図るため、開発センター従業員向けの研修も実施された。

 

同プロジェクトの対象県では障害者の割合と、障害者の中の貧困率が高い。対象県における障害者貧困率が下位3十分位に55%、他の15県では44%となっている。

障害の評価は現在、時代遅れの医学に基づき、判断されている。子どもの障害の早期診断と発見は十分に発達していない一方、長期介護が必要な高齢者は障害者とみなされない。モンゴルにおける障害者とその家族は、他の人口に比べ貧困レベルが遥かに高く、人間開発指標が低い人口のサブ・グループを代表している。例えば、貧困状態が、障害者がいる世帯では42%であるのに対し、障害者がいない世帯では18%である。1559歳の障害のない人々の69%が労働するのに対し、障害者の場合28%となっている。また、618歳の障害のない子どもの4%に対し、障害のある子どもの43%が読むことが出来ないという。

 

さらに、障害者とその家族は、一部の薬や健康診断等の県病院で受けられない医療サービスを首都病院で受けるため、交通費を含む医療費が高い事が貧困の要素となっている。

 

保護者は、障害者に対する教育サービスの質が低いとし、障害者団体からも高等教育を受ける機会が少ないという声が上がる。特に知的障害を持つ人々は、教育、医療、社会的保護、就職機会が少なく、社会から疎外されている状態である。障害を持つ子どもに対する早期診断および介入サービスも数少なく、品質が低い。あらゆるレベルにおける教育へのアクセスが不十分であるため、障害者が他の人々に比べて就職率が低い。既存のユニバーサルデザイン基準にかかる強制力の欠如に加え、投資も限られているため、役所、病院、学校などの公共施設や交通機関への物理的なアクセスが悪い。これら全て、障害者にとって支障となり、基本的な自治体や社会サービス、あるいは近隣の職場に出入りすることが妨げられている。障害者は大きな障壁に直面し、技術の不足から雇用市場に入ることができず、企業は障害者に仕事を与える準備ができていない、とプロジェクト担当者のJ.アルタントヤ氏が述べた。



 

同プロジェクトは、これらの問題に対する適切な解決策を見つけ、更なる導入のための事例として紹介されることを目的としている。また、政策支援や産業界との連携を通じた就労機会の増加、政策の見直しやキャンペーンを通じ、障害者を取り巻く問題やプログラムに関する一般市民の知識や認識を高める事を目指している。