オブス県(県の紹介シリーズ 10)

モンゴルについて
naranchimeg199@gmail.com
2018-06-12 11:22:32
 オブス県はモンゴル西部にあり、首都ウランバートルより1336㌔離れている。北部はロシア、東部はザブハン県、南部はホブド県、西部はバヤン・ウルギー県とそれぞれ接する。県庁所在地はウランゴム。面積は6万9600平方㌔、人口は8万1278人。その60%がドゥルベド族で、15%がバヤド族、15%がハルハ族で占められている。シーバックソーンの世界的に有名なオブス県の8つの奇跡を紹介する。

オブス湖

 オブス湖は、県庁所在地ウランゴムより36㌔にある、モンゴル最大の湖だ。長さ84㌔、広さ79㌔、深さ79㌔。この湖では、テス川、ナリーン川、ハルヒラー川、トゥルゲン川、フンドレン川などの大小38の川が流入しているが流出する河川はない。湖の北部は、ロシア・トゥヴァ共和国が位置する。オブス湖では、サケイ(鳥の名前)、雁、灰色雁、アヒルなどの362類の渡り鳥が集まる。72種類の哺乳類はオブス湖の盆地の近くで住んでいると研究者らが測定した。オブス湖の盆地では、1993年に自然保護区を設定し、2003年にユネスコの世界遺産に登録された。
 

アルタン・エルス(金色の砂)自然保護区


 
 アルタン・エルス自然保護区はオブス湖の南部にある。面積は17万7500平方㌔。1993年には、国会決定により、国家特別保護地区に指定された。アルタン・エルスには、砂丘に加えて、大量の松、カラマツ、シーバックソーンがある。哺乳類、ウサギ、マーモットが住んでおり、季節によって水鳥が飛来する。
 




ヒャルガス湖


 
 ヒャルガス湖は同県のヒャルガス郡、ザブハン郡、ナランボルガ郡、ツァガーンハイルハン郡、マルチン郡に通じて流れる。海抜1028㍍、面積は1407平方㌔である。最深部の深さ80㍍。湖の浜でハラ・テルメス温泉がある。ヒャルガス湖の東部には、長さ5~7㌔、高さ20㍍の「ヘツー・ハド(難しい岩石)」という水下岩石がある。この岩石の頂上は水下から出ている島のように見られる。

ハンフヒー山



 ハンフヒー山はオブス県のズーンハンガイ郡、ウンドゥルハンガイ郡、ツァガーンハイルハン郡にあり、ウランバートルより1160㌔に位置する。2000年に国家特別保護地区に指定された。山頂は高さ2928㍍のドールガ山だ。
 






ゴージョール滝

 
 ホブド郡のハラヒラー山とトゥルゲン山の南に位置する。滝の落差は17㍍、標高3000㍍。ゴージュール滝の近くに珍しいヒョウ、野生の山羊、アルガリ、鹿など20種類以上の野生生物、30類の希種薬草がある。雪蓮花(ワンセンベルー)も見られる。
 







ムングン・ツァヒル山

 同県のダブスト郡より50㌔にあり、標高1600㍍。自然保護区のこの山岳地帯にある岩絵には、鹿、ヤギ、山羊、人の顔などが多数描かれている。研究者らは、これらのモニュメントが紀元前3~1千年紀に属すると考えている。
 









ゾラーギーン岩絵

 岩絵は同県のズーンハンガイ郡より14㌔にある大きい赤い岩だ。この岩の真ん中には、古代人が刻んだ岩絵がある。ゾラーギーン岩絵には、飛ぶ鳥ようなもの、彎月、三角形の図形、複数の点、両腕を広げる人、踊っている2人などの内容を含む洞窟壁画がある。新石器時代に属すると研究者らが特定した。また、この岩絵の中では、部族の狩りを表示する絵もある。世界ではこのような2つの岩絵があり、1つはアメリカのアラスカ州にある。

 



ツァガーン・デグリー山

 
 モンゴルアルタイ山脈に由来しているツルゲン山の山頂はツァガーン・デグリー山だ。標高4096㍍。ツァガーン・デグリー山脈は、森林地帯、山岳地帯、氷河、独特の岩、絶滅の動物と植物種によって特徴付けられる。トゥルゲン川、ボーラル川、ハラヒラー川、ヤマーティーン川がこの山から流出する。チュルク時代の多くの古墓、洞窟壁画、古塚などの歴史的な遺産がある。
 1989年、日本の田部井淳子登山家はこの山を登った後、他の登山家が登った例がない。