ドルノド県   (シリーズ4)

モンゴルについて
著者 : T.Mandukhai 41@montsame.mn 2017-10-31 16:41:41
「東」を意味するドルノド県は、モンゴル最東部に位置し、南にスフバートル県、西にヘンティー県、北にロシア・バイカル地方、東に中国内モンゴル自治区と境界を接する。面積は約12万3500平方㎞。人口はおよそ7万5000人。モンゴルの最大平地であるとともに、渡り鳥の飛来地でもある。県庁所在地はチョイバルサン市。かつてのモンゴル人民革命の英雄「チョイバルサン元帥」の名を取り、1930年代から同国東部の中心都市として盛んだ。 
 1939年に当時の日本陸軍とソ連とモンゴルの連合軍の軍事衝突、後にモンゴル人に「ハルハ河戦争」と称された戦争(日本ではノモンハン事件)が起きた地である。夏と秋は観光が最も快適で、遊牧民の歴史と文化を語る数多くの名所がある。そのいくつかを紹介する。




チンギスの城壁
 モンゴル国内には、チンギス・ハーン遺跡にまつわる「チンギスイン・ダラン(堤防)」「チンギス・ザム(路)」「チンギス・へレム(城壁)」といった名所がある。そのうち、ドルノド県には約500~600㎞の長さがあるとされる「チンギス・へレム」がある。城壁の表側に内部治安と外敵から城壁を守る約2000平方㍍をする居住塔の跡がある。居住塔間の距離は8~12㎞とされる。この城壁について言い伝えがあるが、チンギス・ハーンが自らこの城壁整備を命令したという。その訳は、父親が息子の嫁の顔を見てはいけないという掟があったからとい
う。ある時、チンギス・ハーンは息子の嫁と一緒に旅に出ることとなったが、掟を守るために城壁の表側を自らが行き、裏側には義理の娘を行かせたという。



ハイランのべトログリフ、石人像、ドゥルブルジン墓葬遺跡
 モンゴル国内でも銅器時代に当てはまるペトログリフと石人像、墓葬遺跡が同じ場所から見つかることは稀である。そのためにドルノドはモンゴルの銅器時代を語る貴重な遺跡が眠る場所である。ドゥルブルジン墓は構造と外見からすると、かなり古くて遊牧民の文化を物的に語れる重要な文化財である。これまで約510カ所が発掘された。




イフ・ボルハント
 
あらゆる罪業、障害などを粉砕する神様の「イフ・ボルハント」仏像は1859~1864年の間に建てられた。
モンゴルでは、「イフ・シュテーン」として知られている。モンゴルの東部を守るという意味で建てたというが、仏教普及でモンゴルの富が外へ流れていることに気づいたモンゴル貴族らがそれを留まらせようとして造ったという説もある。2014年、同遺跡が修復された。





ボイル湖
 ボイル湖は同県東部、ハルハゴル郡より65㎞にある。モンゴル東部にある最大級の淡水湖である。面積は615平方キロメートル。長さは40キロメートル。幅は21キロメートル。平均水深は8㍍。
 大きさとして国内5位の湖である。ハルハ河がこの湖に注ぐ。ボイル湖の漁業は昔から盛んである。1930年代から同湖の東側においてモンゴルの水産物生産所が開業した。1954年から水産物生産工場として改めた。生産量は年間300㌧とされる。また、この湖は渡り鳥の飛来地としても有名だ。年間199種の渡り鳥が観察される。

ショー・タワントルゴイの石人像
 ショー・タワントルゴイの石人像は、同県ハルハゴル郡にあり、13~14世紀の貴族葬式で建てたとされる。この遺跡を調査した専門家によると、亡くなった人を永遠に守るという意味で石人像を建てた可能性があるという。ショー・タワントルゴイの石人像は、テュルク石人像に比較すると、感情豊かで繊細な表現をしている。

ハルハ川戦争勝利記念碑
 ハルハ川戦争勝利記念碑はモンゴル人民軍の友軍となったソ連兵士たちを記念して「ハルハ河戦争勝利45
周年」の1984年に建てられた記念碑だ。

ヘルレン・バルス・ホト遺跡
 
ヘルレン・バルス・ホト遺跡は9世紀ごろ、モンゴル大草原で勢力を強めた契丹族の中央アジアで唯一残された遺跡とされる。同県チョイバルサン市よりおよそ12㎞の距離でツァガーン・オボー郡にある。城壁は、西が1900㍍、北と東がそれぞれ1700㍍、南が1530㍍で、高さが1.5~2㍍、厚さが3~3.5㍍だ。居住塔は3つある。一つは城壁の西側、残りは東側にある。
 契丹族が自らの首都を建設しようとした時に地元遊牧民が虎を連れてきて脅したという言い伝えもある。研究者は7㍍もする塔を居住塔の可能性があると指摘する。



ハルハ河とヌムルグ河の上流域
 モンゴル大平原は同国最東端までに走る。それより東はロシアと中国に跨る大興安嶺山脈に接する。大興安嶺山脈の嶺西地域とモンゴル平原に接するところは、ハルハ河とヌムルグ河の上流域になる。ここはフブスグル湖の景色に負けないほどの素晴らしい自然がある。


メネン大平原
 ドルノド県にまたがるメネン大平原は、モンゴル最大の平原である。ボイル湖から西へ約90キロ、約60平方キロの面積を誇る。遮るもののない世界、ほぼ360度地平線という風景がここにある。 
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