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自国完全自給は不可能、ただ輸入に頼りすぎもダメ! モンゴル鶏卵生産業が窮地に立たされる厳しい状況とは


2017-10-30 13:19:45
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 食料安全保障を語る上で必ず議論の中心となるのは、「食料自給率」のことだ。これは単に食料生産能力のことではなく、その供給能力も含まれる。最も単純な定義は、「食料をいかに確保するか」という手段を問うものである。モンゴルは、国土が広い上、居住地面積が限られるという点で、その農牧業は、潜在的な能力が高いと言われる食料生産を行う上で担わなければならない生産域の条件も整っている。ただし、生産域の確保のほか、資本投入や農業インフラも非常に重要な要素となる。また、現実問題としてあるのは、食料の輸入を一切せず、完全自給による食料確保はどんな国でも、基本的に不可能なことだ。国際社会においては、越境的な貿易を通して、自国領域外の場所で生産され、それを輸入という形で一般消費者への供給を実現させることはごく当たり前のことである。その一方で、他国への依存は、返って自国の生産者に対する脅威や有事の際は
国の立場を脅かす危機になりかねないと考えが未だに根強い。モンゴルは、穀物やジャガイモ等を除けば、食料自給は懸念される。
 これまで、国内生産力が伸びて全量自給までにも行けた。さらに、国も主な食糧の価格安定化政策で養鶏と鶏卵生産の4社に対して総額86億トゥグルグの緩やかな条件付の貸付を行ったおかげで、2年間で生産高も2倍増大した。だが、問題は価格安定化政策のおかげでせっかく運営が安定期に入ったにもかかわらず、国内市場確保と生産者の保護をせずまるで輸入たまごを守るかのように、崖ぶちから突き飛ばすかのような姿勢であった。
 モンゴルは、その隣国である中国の国産たまごに対して輸入の規制対象にしている、他方、ロシア産たまごに対しては全く規制していない。この措置は、返ってモンゴル市場へのロシア産たまごのシェア拡大に繋がっているとの見方が強い。モンゴルのたまご消費量は、年間平均1億個であり、モンゴル人は推計上1日平均が200~250万個のたまごを消費していることとなる。そのうち、80~90万個のたまごが国産たまごで、残りはすべて外国産たまごとなる。全国養鶏協会は、既に倒産した養鶏所またはそういった危機に直面した各養鶏所をあわせると、国内の全消費量に対して自給できるとその見解を示すとともに、輸入たまごのせいで倒産まで追い込まれるケースが少なくないとして懸念を示している。
 たまごの一般価格は、ロシア産が1個280トゥグルグであるに対してモンゴル産のたまご1個が350トゥグルグというやや高めの値段設定だ。国産たまごの値段が高いのにはいくつかの理由がある。まず、為替変動の問題だ。生産者は、事業継続のために必要となる物材は輸入品がほとんどである。餌や整備機械、ワクチンまで外国から調達する。たまご一個の原価およそ8割ぐらいがコストだという。飼料も現地で調達できるものと輸入にたよらざるをえないものがある。そうなると、為替レートの変動が生産者にとって大きな負となるわけだ。長く続いたトゥグルグ安の連鎖影響で痛い目に合ったのは、生産者と消費者の家計であった。
 第二は、ロシアは世界有数の経済大国である。たまごを主な食糧として位置づけしたロシアは、年間生産高が約400億個だという。これに対して、モンゴルの生産高は年間たったの4000万~5000万個に留まる。言い換えれば、ロシアは競争相手として大きすぎる存在だ。大量生産でそのコスト・パフォーマンスが下がるという市場原理から考えると、ロシア産がなぜ安いかは検討がつくだろう。
 安価に圧倒されて、われわれに忘れがちのもう一点がある。それは、たまごが生産過程から消費者の手まで何日かかるかということだ。というのは、ロシア産たまごのほとんどが同国南部で生産されるからだ。そもそも、たまごは、衛生上、一定の時間経過を消費して安全な食糧だろうか。これは、問題視すべきだと思われる。モンゴル産たまごに関して期間と輸送距離などの問題を言えるだろうか。養鶏場は経済効率性の高い事業といわれている。ニワトリは羽から糞まですべてを経済活用できる優れものである。
 外国では、養鶏場のたまご生産が運営維持費を稼いで、鶏肉や羽、糞はその収益となることは普通だといわれる。諸外国のこうした事情と違って、モンゴルにおける養鶏場経営は厳しい。外国で十分経済効果が見込める糞等が一般廃棄ゴミとして捨てられたりするからだ。過去には、大手の養鶏場の1つである「エヌ・ベー・ツェー」社がトラック100台の分の糞を廃棄ゴミとして捨てたことがあった。
 モンゴルの養鶏業は、コストが高くてなおかつ国内評価が低いという状況で国際競争を飲み込まれている。
たまごの内需がこの20年間で6倍に膨らんだというが、残念ながら、この伸び率に対して有効活用できているのは、隣国ロシアの生産者のみである。ロシアの生産者は、コスト削減もできるし、また関税優遇された環境で活動を展開している。モンゴルの対ロシア輸出の際は、約65%の関税を課されるが、対モンゴルの場合は5%に留まる。
 行政監察庁は、たまご輸入に関する許可を管轄する。同庁は「政府は、輸出及び輸入推奨措置を決定した。同庁としては、輸入規制を行う法的な根拠に欠ける」としている。国の緩やかな条件付きの貸付推進は、経営
者らとその企業にとって大した助けにならない。ここで一番大事なのは、市場保護である。新規事業者にとっては、その生産物が売れる市場確保が死活問題だ。そのため、国は国内生産者の保護の一環として対象品目の規制を導入し、国内生産高と消費ニーズに合わせて輸入数量を決定すべきだと考えられる。こうした生産競争における不平等さに終止符を打つべきときが来た。こうした厳しい状況の改善は、新たな雇用創出と国内生産者への奨励、国民への安全かつ安心な食料供給に繋がると期待も高い。国における食料の完全自給は、そう遠くないと期待を込めたい。
ザサギーン・ガザル・メデー新聞
記者:G.バイガル